VAIO Phone Bizを法人市場に特化する理由

個人利用でも魅力的な端末だが、VAIO Phone Bizは法人市場をメインターゲットとしている。今回の発表会に同席したNTTドコモ法人ビジネス部や、日本マイクロソフトと提携するダイワボウ情報システムを通じて法人向け販売を行う予定だ。コンシューマー向けには販売チャンネルとして、VAIO直営オンラインストア「VAIO STORE」やビッグローブ、楽天モバイルなどのMVNO、一部量販店が用意されており、そこから購入できる。

コンシューマー向け販売チャンネルの説明。既にSIMカードを所有するユーザーは、VAIOストアか量販店経由の購入が現実的だ

このような戦略を選択した理由として考えられるのは、Windows 10 MobileとWindows 10という組み合わせが、ビジネスシーンでもっとも有用なソリューションとなるからだ。日本マイクロソフト平野拓也社長は「Microsoft Intuneなどと連携することで、ワークスタイル変革や生産性向上、セキュリティ対策や管理性向上といった多くのメリットを享受できる」と説明した。

日本マイクロソフトがアピールするVAIO Phone Bizを核とした協業体制

NTTドコモの取締役常務執行役員法人ビジネス本部長である高(「高」は「はしごだか」)木一裕氏も「Continuum for Phoneを実現するミドルレンジクラスのデバイスはビジネスと親和性が高い。自信を持って薦めていく」と語る。

NTTドコモの法人向けパッケージ。MDMによるデバイス管理や「PREMIUM 4G」を組み合わせたラインナップを用意する

日本マイクロソフトは2015年8月にダイワボウ情報システムと共に「Windowsモバイルビジネスセンター」を設立し、2015年10月にMDM(モバイルデバイスマネジメント)分野に強いアイキューブドシステムズと協業するといった準備を進めてきた。平野社長は「(以前のWindows Phone日本市場撤退を踏まえて)当時と比べても高いレベルで法人顧客のニーズを満たせるタイミングだ」と現状を分析し胸を張った。

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本誌読者の大半はコンシューマーのため、このようなビジネス戦略には興味を持たないだろう。だが、今回のVAIOとNTTドコモ、そして日本マイクロソフトが協業するビジネスプランが成功すれば、コンシューマー分野でもWindows 10 Mobile市場は大きく加速する可能性が高い。VAIOの担当者は次期モデルについて市場動向を見ながら判断するとしているが、コンシューマー向けモデルの登場も期待できるはずだ。

VAIO Phone Bizは4月先行販売開始予定。予定参考価格は5万円台となる