東京都・表参道の根津美術館は、時空を越えて遍在するほとけたちの、深淵な信仰世界を紹介するコレクション展 「ほとけの教え、とこしえに。 ―仏教絵画名品展―」を開催する。会期は2月27日~3月31日(月曜休館、ただし3月21日は開館し、翌22日は休館)。開館時間は10:00~17:00。入館料は一般1,000円、学生800円、中学生以下無料。

兜率天曼荼羅
1幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 根津美術館蔵

重要美術品 釈迦三尊十六羅漢像
19幅より 絹本着色 日本・鎌倉時代 13-14世紀 常盤山文庫蔵

釈迦三尊像
1幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 根津美術館蔵

同展は、釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、未来に如来となる弥勒菩薩、そして現在と未来を結ぶ羅漢を中心に、仏教絵画の名品を紹介するもの。古代インドに生きた釈迦族の王子シッダールタは、静かな瞑想の末、悟りの境地に至り「如来」となった。釈迦は、死の間際、集まった弟子たち(羅漢)に、これより億千万年後に、兜率天で待機している弥勒菩薩がこの世に現れ、弥勒如来となる日までこの世に生きて仏法を守りなさい、と命じたという。同展では、同館所蔵の「仏涅槃図」、「兜率天曼荼羅」に加え、常盤山文庫が 所蔵する「釈迦三尊十六羅漢像」(重要美術品 19幅 鎌倉時代)が展示される。

一方、密教は、時空を越えた絶対的な真理である大日如来を生みだし、すべてのほとけは大日如来が姿を変えて現れたものであると説く。祈りの儀式によって、この世でのさまざまな願いを叶えるほとけたちが人々の心をとらえたことは、「金剛界八十一尊曼荼羅」(重要文化財、鎌倉時代)の豊かな世界にみることができる。とはいえ、この世は逃れられない苦しみに満ちあふれており、来世は阿弥陀如来が住む西方浄土に生まれたいと願う浄土信仰が、人々の心に深く根をおろしたことは、数多く制作された浄土図や来迎図が物語っているということだ。

また、関連プログラムとして、東北大学教授・泉武夫氏による講演会「浄土と救済のかたち」が開催される。開催日時は3月19日14:00~15:30。申込方法の詳細は、同館Webページにて。そのほか、スライドレクチャー「釈迦のすがた」(3月5日)、「羅漢の美術」(3月26日)、が開催される。開催時間は各日13:30~約45分間。予約不要。

なお、講演会・スライドレクチャーとも聴講は無料だが、同館への入館料が必要となる。