文部科学省はこのほど、「学校保健統計調査-平成27年度(速報)」の結果を公表した。同調査より、近年の小学校における裸眼視力の低下傾向などが明らかになった。

身長の平均値

身長の平均値の推移

同調査は学校における幼児や児童、生徒の発育および健康の状態を明らかにすることを目的とし、昭和23年度から毎年実施。調査対象は幼稚園~高等学校の満5歳から17歳まで。

発育状態は、69万5,600人を対象に身長と体重、座高を調査した。身長に関しては、文科省は「平成6年から13年度あたりをピークに、その後横ばい傾向である」と分析。前年度の平成26年度分と比較すると、男女ともに全年齢層でプラスマイナス0.1cmの増減にとどまっている。

体重も同様に、全年齢層でプラスマイナス0.2kgの範囲内での増減がみられるが、身長よりは減少している年齢層が多くなっている。年間発育量の世代間比較(身長・体重)をみると、近年の方が低年齢での成長が比較的顕著のため、「男子、女子共に身長、体重のいずれも現代に近い世代ほど早期に増加している」と、同省は結論付けている。

体重の平均値

体重の平均値の推移

一方の健康状態は、335万1,047人を対象に「栄養状態」「視力、聴力、目の 疾病・異常の有無」「心臓の疾病・異常の有無」「耳鼻咽頭疾患・皮膚疾患の有無」などを調べた。

肥満に関しては、「性別・年齢別・身長別標準体重を求め、肥満度が20%以上の者」を「肥満傾向児」と定義。男子では15歳が11.34%で全年齢層で最も高い数値となっており、女子は12歳の8.36%が最高となっているが、全体としては「年齢層によりばらつきはあるが、平成18年度以降概ね減少傾向」とのこと。

地域別の数値なども算出しており、「東北地方は以前より肥満傾向にある子どもが相対的に高い傾向がある」「女子よりも男子の方が肥満傾向にある子どもが出現しやすい」ことも明らかになっている。

肥満傾向児の出現率の推移

男子の肥満傾向児の出現率(左)と女子の肥満傾向児の出現率

各種の異常に関してみると、むし歯(う歯)については改善傾向が続いている。平成27年度は特に高等学校において52.49%と、これまでで最もよい数値をマークしており、平成22年度(59.95%)よりも7%以上の数値改善がみられる。

一方で、同省は「裸眼視力1.0未満の者の割合は増加傾向にある」と危惧している。実際、平成27年度の小学校において裸眼視力が1.0未満の子どもは30.97%と、過去最高の割合に達している。また、高等学校の年代でその傾向が顕著にみられ、平成22年度(55.64%)からわずか5年間で約8%(63.79%: 平成27年度)も数値が上昇している。

主な疾病・異常などの推移

なお、詳細な結果は同省のホームページにて確認できる。

※グラフはすべて文部科学省の「学校保健統計調査-平成27年度(速報)」より