福岡市とヤフーは1月18日、福岡市における地域共働事業に関する協定書に調印したと発表した。両者は今回、「スタートアップ支援・デジタル人材の育成」「市政情報等の発信」「防災・災害対策」などの5分野で協定を結び、福岡市のさまざまな課題解決に取り組んでいくという。

包括連携協定書の調印式の様子(左:髙島市長、右:Yahoo! JAPAN 代表取締役社長 宮坂氏)

今回の包括連携協定の対象となる主な5分野での概要は以下のとおり。

「スタートアップ支援・デジタル人材の育成に関する事項」は、起業経験を持つヤフー執行役員などによる講演や、ヤフー子会社でベンチャーキャピタルの「YJキャピタル」と連携した支援を検討。「スタートアップカフェ」に会員登録されている企業向けに、ヤフーへの広告費の一部を補助するなどし、福岡市におけるスタートアップのさらなる活性化を目指す。

また、ヤフーは、同社のECサービスを活用し、ITを利用した女性の社会進出・復帰を後押しするなどの取り組みも予定。具体的には、「ヤフオク!」を通じたハンドメイド品や不用品の出品方法の講習会などを予定する。

さらに、ヤフーの子会社で、クラウド事業を展開するIDCフロンティアを通じたICT活用の学習環境支援を同日より開始。これは、学生が最新のITインフラ環境に触れられるよう、大学や専門学校などを対象として、学校での授業や実習で必要となるクラウドコンピューティングサービスを無償提供するほか、データセンター・クラウド技術についての講義などを実施することで、IT技術者の育成を図るものとなる。今回の包括連携協定に先立ち、九州大学および麻生塾と同取り組みを試験的に開始しており、新たに筑波大学や九州工業大学、北九州工業高等専門学校、佐賀大学の採用が決定している。

「市政情報等の発信に関する事項」においては、Yahoo!ブログに福岡市長公式ブログを開設。「Yahoo!映像トピックス」の公式映像コーナーで福岡市の映像コンテンツを掲載するなど情報発信についての取り組みを引き続き続けるほか、今後は「Yahoo!検索」のビックデータを活用した市政情報発信の充実・強化を実施するとともに、ヤフーが持つインターネットを活用した情報発信に関するノウハウ等を研修などを通じて福岡市職員に提供する。

「防災・災害対策に関する事項」では、両者は2013年9月に「災害時支援協定」を締結し、2014年5月に「Yahoo!防災速報」アプリを活用したソーシャル避難訓練を実施。2015年3月には、Yahoo! JAPANのスマホ版トップページにおいて市民向けに、福岡西方沖地震から10年にともなって福岡市が作成した特設サイトへの誘導リンクを表示するなど、防災・災害対策でも連携し、今後も「Yahoo!防災速報」アプリにおける福岡市の独自情報配信などで防災・災害対策に取り組んでいく。

「電子自治体の推進に関する事項」においては、これまで、ヤフーが自治体向けサービスとして提供する「Yahoo!官公庁オークション」と「Yahoo!ふるさと納税」を福岡市も導入しているが、今後、「Yahoo!官公庁オークション」において福岡市が出品した公売品の落札を促進する施策や、「Yahoo!ふるさと納税」におけるふるさと納税で福岡市への納税を促進する施策などの取り組みを進めていく予定だ。

両者は、これらのほかにも、市民サービスの向上及び地域活性化に関する事項であらゆる可能性を両者で探り、福岡市の課題解決に取り組んでいく考え。なお、ヤフーが政令指定都市と包括連携協定を結ぶのは、今回が初となる。