福岡市とヤフーは1月18日、福岡市における地域共働事業に関する協定書に調印をした。両者は「スタートアップ支援・デジタル人材の育成」「市政情報等の発信」「防災・災害対策」「電子自治体の推進」「市民サービスの向上および地域活性化」の5つの分野で協定を結び、福岡市のさまざまな課題解決に取り組んでいく。なお、ヤフーが政令指定都市と包括連携協定を結ぶのは初となる。

高島市長(左)とYahoo! JAPAN代表取締役社長の宮坂氏

スタートアップ支援・デジタル人材の育成では、福岡市は2014年5月に「グローバル創業・雇用創出特区」として指定され、同10月には起業を志す人の相談・交流スポットとして「スタートアップカフェ」を市内に開設するなどスタートアップ支援・雇用創出に注力している。

ヤフーには起業経験者が多いことから、起業経験のある執行役員などによる講演を実施したり、同社の子会社でベンチャーキャピタルであるYJキャピタルと連携した支援も検討している。まずはスタートアップカフェに会員登録している企業向けに、ヤフーへの広告費の一部補助など福岡市のスタートアップのさらなる活性化に向けて協働していく。

具体的には「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」を中心としたECサービスに注力しているため、福岡市でECを活用できる人材育成の支援に取り組み、ヤフオク!を通じたハンドメイド品や不用品の出品方法の講習会などを通じてITを活用した女性の社会進出・復帰を後押しすることなどを進める予定だ。

そのほか、子会社でクラウド事業を展開するIDCフロンティアを通じたICT活用の学習環境支援を開始し、大学や専門学校などを対象にクラウドコンピューティングサービスの無償提供やデータセンター・クラウド技術についての講義などを提供する。

また、市政情報などの発信では効果的な市政情報の発信として「Yahoo!検索」のビックデータを活用した市政情報発信の充実・強化を実施するほか、ヤフーが有するインターネットを活用した情報発信に関するノウハウなどを研修を通じて福岡市職員に提供していく。

さらに、防災・災害対策では緊急時における情報発信の確保・協力として両者は2013年に災害時支援協定を締結し、2014年には「Yahoo!防災速報」アプリを活用したソーシャル避難訓練を実施しており、2014年には福岡西方沖地震から10年に伴い福岡市が作成した特設サイトを開設するなど、すでに防災・災害対策において連携している。今後も同アプリにおける福岡市の独自情報配信など、さらなる防災・災害対策の取り組みを進めていく方針だ。

加えて、電子自治体の推進では行政運営におけるインターネットの活用を推進し、今後は「Yahoo!官公庁オークション」で福岡市が出品した公売品の落札促進、「Yahoo!ふるさと納税」ではふるさと納税において福岡市への納税を促進する施策などインターネットを通じた効果的・効率的な行政運営につながるような取り組みを進めていくという。

市民サービスの向上および地域活性化については上記の取り組み以外でもあらゆる可能性を両者で模索し、福岡市の課題解決に取り組んでいくとしている。