この記事では、『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』の著者である経済評論家の山崎元さんに伺った「お金の増やし方」を紹介する。前編の「投資の初心者が選ぶべき商品とその理由」に続き、後編では「買ってはいけない金融商品」についてお話頂いた。

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』著者の山崎さん(奥)と大橋さん(手前)

保険はいらない?

――書籍では「保険は不要」とありますが、もしもの時を考えると加入しておいた方がいいのではないでしょうか?

山崎さん:お金のいいところは「自由であること」です。子供の教育に使ってもいいし、病気になった時に使うのでもいい。お金には色がついていません。一方、保険は使いみちを制限してしまいます。本来自由なものなのに、手数料を払って自分のお金を不自由にしているのです。

例えば「学資保険」を払うなら、通常の預金にもう1万円ずつ上乗せしていくほうがいいのです。大学の入学金じゃなくて、15歳の時にサッカースクールに行きたくなるかもしれないし、塾の費用に使いたくなるかもしれない。もしくは卒業してから起業したいかもしれない。なにも「学資」として用途を狭めて、お金に色を着けることはしないほうがいいということです。

――医療保険はどうでしょうか? 例えばガンにかかるとすごくお金が必要になると聞きますが……

山崎さん:「高額療養費制度」があるので、基本的に不要です。制度の自己負担分をまかなえる預貯金があるのであれば、保険に加入する必要はありません。

【高額療養費制度】
健康保険に入っている人が1月にかかった医療費の自己負担が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される(保険の適応範囲内に限る)。

例えば年収370万円~770万円の人の場合、100万円の治療費が掛かったとしても、自己負担は8万1,330円。91万8,670円は国が負担する。

――「保険をかけたほうが良い人」はどんな人でしょうか?

山崎さん:子供が生まれたけどお金に余裕が無い若い夫婦です。子供が自立するまでの期間、「掛け捨てで死亡保障のみの保険」に入れば良いでしょう。貯蓄機能があるものがありますが、掛け捨ての保険と貯蓄の両方に手数料を払って保険会社の商売につきあっているということになりますのでやめましょう。

――家計への負担も抑えられそうですね

山崎さん:保険はそもそも「損な賭け」なのです。平均的に契約者が儲かると、保険会社は潰れてしまいます。セールスの人もいますし、その人件費なども保険料でまかなっているということを念頭に置いておくべきです。