(左から)伊藤智彦監督、土屋太鳳、満島真之介、赤崎千夏。

三部けい原作によるTVアニメ「僕だけがいない街」の完成披露試写イベントが、1月5日に新宿バルト9にて開催された。

イベントではアニメの第1、2話をTV放送に先駆けて上映。試写会後には10歳の悟役を務める土屋太鳳と、29歳の悟役を演じる満島真之介、愛梨役の赤崎千夏、監督の伊藤智彦が登壇してのトークショーも行われた。

絵コンテを作成してから半年が経過しているという「僕だけがいない街」。伊藤監督が「ようやくできたという感じです。最初はイケてると思って作ったんだけど、最後にはよくわからなくなっていました。けなされるよりはほめられたいので、皆さんほめてください」と挨拶すると会場からは拍手が起こる。

本作で初めてアニメの声優に挑戦した土屋と満島。土屋はアニメの1、2話を視聴して「秘めた熱量を感じるとともに、自分の課題を厳しく実感しました。声に命を吹き込むのは本当に難しいと思います」と語る。悟というキャラクターについて、満島は「僕は悟とはちょっと違うテイストの体つきなので、実写だったら演じる機会はなかったと思うんです。だからこそアニメの悟は、(イメージの違う僕が演じることで)ひとりの人間としてもっと深くなってくるだろうなと考えていて、そこに太鳳ちゃんも加わる。みんながいろいろイメージできる悟になればいいなと思っています」と意気込んだ。

赤崎は俳優陣とのアフレコについて「満島さんは悟が転ぶシーンでは実際にマイク前で転んでいたりして、体とお芝居がリンクしているなと思う部分がたくさんありました。普段の現場の雰囲気とも違って刺激的です」と振り返る。満島も「最初は緊張したんですが、一人ひとりがマイクを取り合うかのような密な空間で、チームでやっているんだとすごく感じられて。そこに救われました」とアフレコの様子を説明。これを受けて土屋も「俳優のお仕事でアフレコというと、演じた自分たちの姿に後から声をあてることが多いんです。演じたときを思い出しながら声をあてるので、この作品でいえばリバイバルに近い。でもアニメは声をあてる、イコール命を吹き込むことだと思っていて、現場では先輩たちの生きた声が飛び交っている。圧倒されながらも勉強させていただいています」と続けた。

本作ではモノローグを除き、ひとりでしゃべる形でのアフレコをなるべく避けているという。その意図について伊藤監督は「実写畑の方なので、かけあって芝居をすることに長けていると思うんです。そこでひとりだけでポツンと録っても、本領が発揮できないんじゃないかと」と述べた。

その後、作品にちなみ「もしリバイバルするならいつがいいか」と問われた出演者。土屋が「赤ちゃんのときですね。大人になったら声の仕事をするから、あんまり泣きすぎないようにしたい。かなりうるさかったらしいので」、満島が「母親のお腹の中にいるときに戻ってみたいです」とコメントしたのに対し、赤崎は「少し道を踏み外したら今の自分に戻ってこれないかと思うと怖いんですよね。ちっちゃいですね、すみません(笑)」と自虐的に語った。

最後に作品の見どころについて土屋は「すごくリアルな表現で描かれているので、心が潰れそうになる場面もあるかと思うんですが、その中で人の心の温かさというのを感じていただきたいです。キャリアも基礎もない私が声を担当するのは責任重大ですが、見てくださる方々に鍛えていただけたらと思います。全力を注ぎます」と宣言した。アニメは1月7日にフジテレビのノイタミナ枠ほかにて放送スタート。3月19日には、藤原竜也主演による実写映画版が公開されることも決定している。