プロ野球に新たな療法。発案は日本人、“逆輸入“のファンクショナル・カッ…

元メジャーリーガー長谷川滋利氏が最高顧問
 日米を問わず長いシーズンを戦うプロ野球選手達にとって日々の身体のケアとコンディショニングの重要性は極めて高い。近年多くのアスリートが取り入れている筋膜リリースもその一つであるのだが、その筋膜リリースのさらなる発展形であるファンクショナル・カッピング・メソッドという手法が日本のプロ野球界において浸透し始めている。
 
 最も熱心なのはオリックス・バッファローズで、同チームの所属トレーナーの多くがファンクショナル・カッピング・メソッドの認定トレーナーでもある。
 
 実はこのファンクショナル・カッピング・メソッドは大谷翔平が所属するエンゼルスの本拠地アナハイムから20分ほどにあるアーバイン市在住の米国公認カイロプラクター浅野吉隆氏が考案し、広めたコンディショニング手法である。
 
 自身のクリニックを開業するかたわら、プロサッカーチームのロサンゼルス・ギャラクシーのメディカル・スタッフでもあった浅野氏が、アスリートの怪我を減らし、コンディショニングを向上させるための方法として、2015年にファンクショナル・カッピング・メソッドを考案した。
 
 2017年には一般社団法人グローバルアスリートサポート協会(GASA)を日本に設立し、同メソッドの推進活動をも開始した。この協会の最高顧問には元メジャーリーガー長谷川滋利氏が就任している。以降、前述のオリックス・バファローズに加え、数多くのプロ野球選手や球団トレーナーがファンクショナル・カッピング・メソッドを取り入れている。
 

 従来の筋膜リリースの多くがフォームローラーなどで筋肉を押す方法を取るのに対し、ファンクショナル・カッピング・メソッドでは特製のシリコンカップ(左写真)を使い、癒着した組織を吸い上げて剥がすことに特徴がある。
 
 また、伝統的な治療法としてのカッピングが一般的にガラスやプラスチックの素材を使用した多数のカップを背中などに固定し、ある時は火をつけて加熱するのに対し、ファンクショナル・カッピングでは特製のシリコンカップを皮膚の上で滑らせて、吸い上げたスペースの下にある部位を動かす方法を取る。




肩の可動域が大幅に向上
 下は記者がファンクショナル・カッピング・メソッドの治療を受けた前後の写真である。治療は10分間程度で左肩のみに行われたが、可動域の向上に驚くほどの効果が見られた。左手の位置に注目してほしい。

 
 浅野氏が治療したプロ野球投手の中にはシーズン中に疲労が蓄積して肩回りの可動域が非常に狭まった状態で投げ続けていたケースが多く見られたと言う。言うまでもなく、肩の可動域は投球動作に直接関わる部分である。前述のような状態がパフォーマンスを下げ、怪我の危険性を高めることは明らかである。
 
 無論、可動域を広げることだけで全てが解決するわけではない。浅野氏は「ファンクショナル・カッピングはあくまでコンディショニングにおける一つの方法であって、従来の筋膜リリースやマッサージとも併用出来るし、何よりも適切なトレーニングを続けることが最も重要」と説明している。
 
 南カリフォルニア発祥のファンクショナル・カッピング・メソッドが日本プロ野球界において逆輸入のコンディショニング方法として受け入れられ浸透していく中、「地元」選手のエンゼルス・大谷が浅野氏の治療を受ける日が来るかもしれない。
 
浅野吉隆氏
経歴
・一般社団法人グローバルアスリートサポート協会ロサンゼルス南カリフォルニア健康科学大学(Southern California University of Health Sciences)卒業
・米国公認カイロプラクター
・カリフォルニア州公認鍼灸師
・ 2009年 プロサッカーチーム、ロサンゼルス・ギャラクシーにてメディカル・スタッフとしてプロアスリートのサポートを開始。
・2010年 カリフォルニア州アーバインにて自身のクリニック「浅野カイロプラクティック&鍼灸院」を開業。
・2013年 元メジャーリーガー長谷川滋利氏の練習施設にて、長谷川氏並びにプロアスリートを目指す学生やアマチュア選手のケアを開始。
・2015年 ファンクショナル・カッピング・メソッドを考案。
・2017年 一般社団法人グローバルアスリートサポート協会(GASA)を設立。