――番組がスタートして1年半以上になりますが、これまで藤井さんが作ってきて、手応えのあった説はなんですか?

【宇多田ヒカル/First Loveの「誰を思ってるんだろう」の部分、カラオケで全員「誰を思ってるんだはー」と歌う説】は気に入っている説です。まず「だはー」って言うよねっていう"あるある"から入って、実際に「だはー」と歌っている人たちのちょっとマヌケな感じがあり、そこから実はご本人も「だはー」だったという原点に立ち戻って、さらに、カバーアーティストたちの歌い方を見ていくと「だはー」を基本に「だらー」や「ださー」のパターンがあるという起承転結の転があって、最後に「クセが強い」でおなじみ大友康平さんがきっちり落とすという。この展開が、われながらきれいに決まったなと。

――"きれい"なんですね(笑)

それから【「結果発表」のコールが日本一上手いの浜田雅功説】。松本さんの筋肉イジりは容姿というあくまで本業ではない部分ですけど、浜田さんのタイトルコールは思いっきり本業なので、怒られるんじゃないかとドキドキしました。そこをイジらせてくれた浜田さんは懐が深いなと思いましたし、「結果発表」というワードのくだらなさが大好きです。

――ほかの番組でコールをした時に、出演者や視聴者が気にしちゃうかもしれないですからね(笑)

あとは、【FBI透視捜査官だったらアメリカ横断ウルトラクイズの○×にダイブするヤツ、問題が分からなくても泥まみれにならない説】。この時はもちろん真剣勝負で、どうなるか分からなかったので、どう転んでもオチがつくように二重三重に仕掛けを用意しました。そんな中、透視のからくりは分からないんですが、本番を迎えたらやはり普通のクイズでは泥に飛び込まないんですよ。最終問題は○も×も両方泥になっているという仕掛けだったんですが、それも「どっちも泥だろ!」と、当てられてしまいました。でもさらに、クイズ終了後、車に戻る道にも落とし穴を掘ってあったので、その穴に落として、結果泥まみれにすることができました。幸運にも一番良い展開になりましたが、万が一途中で泥に落ちてしまっても、その用意周到さを描くことで、面白く見せられていたと思います。

――外国の人ですから、怒り出すかもしれないというリスクもありますよね。

もちろん怒られたら嫌ですけど、怒ったら怒ったなりの描き方もあると思いますし、さすがに本当にヤバいことはやりませんので。その辺のジャッジは一応できているつもりです。

――そういったネタを、MCのダウンタウンさんがスタジオで受けて、さらに番組を盛り上げていますよね。あらためて、ダウンタウンさんのすごさを感じるところはありますか?

バカみたいな言い方ですけど、やっぱり単純に面白いですよね。普通の演者さんが10回発言してOAに使える面白い発言が2~3個だとすると、松本さんは基本10個全部が使える発言。これって、編集ではバランスよくいろいろな人の発言を使うので、テレビを見ている人にはあまり伝わらないと思うんですが、現場では松本さんの"打率"のすごさを実感できます。さらに、浜田さんがいるといないとでは収録のリズムが違う。スタジオがバシッと締まって生放送かのように進行するので、現場がダレずに、より面白さも増してくるんです。

――今後『水曜日のダウンタウン』をこういう風にしていきたいというような新たな構想はありますか?

大きく変えたいという考えは今のところないですね。ただ、世の中とのズレがないようにしておかないといけないとは思っています。世間の温度感が分かった上で、そこにぴったりで合わせるのではなく、あえてちょっと上げたり下げたりすることをうっすら意識しています。