東京都・両国の東京都江戸東京博物館は、自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルド・ダ・ヴィンチの挑戦を紹介する特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」を開催する。会期は2016年1月16日~4月10日(3月22日・月曜休館、ただし1月18日・3月21日・3月28日は開館)。開館時間は9:30~17:30(土曜は19:30まで)。観覧料は一般1,450円、大学・専門学校生1,160円、小・中・高校生・65歳以上730円。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《糸巻きの聖母》1501年頃 バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト (c)The Buccleuch Living Heritage Trust

レオナルド・ダ・ヴィンチ『鳥の飛翔に関する手稿』第10紙葉裏 1505年 トリノ王立図書館 (c)Biblioteca Reale

レオナルド・ダ・ヴィンチ『鳥の飛翔に関する手稿』第11紙葉表 1505年 トリノ王立図書館 (c)Biblioteca Reale

同展は、自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルドの挑戦を、絵画《糸巻きの聖母》と、直筆ノート『鳥の飛翔に関する手稿』を中心に紹介するもの。この2点の作品は、同展のテーマである「見えない世界を探る(beyond the visible)」ために、レオナルドが行った人間観察・自然研究が集約された円熟期の傑作となっている。このほか、レオナルドによる花や子どもを観察した素描、レオナルド派による絵画、神話化・伝説化されたレオナルド像を表した資料など約70点を通じ、「天才の挑戦」が体系的に紹介される。また、同展の図録で、日本側の監修者である斎藤泰弘氏(京都大学名誉教授)による『鳥の飛翔に関する手稿』の新訳も発表されるということだ。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《羊飼いの礼拝のための研究》1478-1480年 アカデミア美術館素描版画室 (c)Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali-Venezia Gallerie dell’Accademia

レオナルド・ダ・ヴィンチ《ユダの手の研究》1495年頃 アカデミア美術館素描版画室 (c)Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali-Venezia Gallerie dell’Accademia

レオナルド・ダ・ヴィンチ《子どもの研究》1502-1503年 アカデミア美術館素描版画室 (c)Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali-Venezia Gallerie dell’Accademia

同展を監修した、レオナルド・ダ・ヴィンチ理想博物館館長のアレッサンドロ・ヴェッツォージ氏は同展の開催に際し次のようにコメントを寄せている。「本展は多分野にまたがるレオナルドの作品や彼の思想の中でも、最も奥深い精髄を知るための基本要素を表す2つの作品『鳥の飛翔に関する手稿』と《糸巻きの聖母》を中心に構成しました。『鳥の飛翔に関する手稿』には、人間の飛行に関する実験方法から実現の予言にいたるまで(生きた鳥の生態や機械の部品の観察を含めて)、芸術、科学に関する論述、自然、建築、機械、水力学、科学技術に関する研究が、図解入りで収められています。一方、《糸巻きの聖母》は、15点にも満たないレオナルドの真筆絵画のひとつです。しかもレオナルドが生きた時代に最も高く評価された作品のひとつであるというだけでなく、まさに"装置としての絵画"であり、哲学的な意味での先駆的作品と言えます。」