薄型ヘッドフォンジャック、Bluetooth、あるいはLightningでのヘッドフォンジャック接続というのは、さほど飛躍したアイディアではないはずだ。ただし、これまでのヘッドフォンを愛用してきたユーザーにとっては、寝耳に水だ。Lightningから通常のヘッドフォンジャックに変換するアダプタを、さほど安くない金額でリリースすることも容易に想像できる。ポートを殺すということは、意外とAppleのアクセサリ販売に寄与しているのも、おなじみのパターンと言える。

LightningやBluetooth接続になり、ヘッドフォンとの間でデータのやり取りが行われるようになると、何か別のことを実現できるのではないか、という期待も膨らむ。現状、ヘッドフォンを含むBluetoothデバイスをiPhoneに接続すると、コントロールセンターにバッテリー残量が表示される仕組みで、デバイスを直接見なくても充電のタイミングを把握しやすい。

ちなみに、iOS 9からは、これまでのヘッドフォンジャックについても賢く進化してくれている。

ヘッドフォンを差し込むと、画面が点灯し、「ミュージック」アプリなどのアイコンが表示される

愛用しているヘッドフォンを差し込むと、画面が点灯し、画面の左下、ちょうどヘッドフォンプラグを差し込んだすぐ近くに、「ミュージック」アプリなどのアイコンが表示されるようになった。そのアイコンを上へスワイプすれば、すぐに音楽を聴き始めることができる。もしYouTubeをヘッドフォンで頻繁に楽しんでいるのであれば、YouTubeアイコンが表示されるし、ニコニコ動画派の場合はニコ動のアイコンが出てくる。

ヘッドフォンで何をするかに応じて、オススメアプリを表示してくれる仕組みだ。もしBluetoothやLightningでのオーディオ再生が主流になった場合、接続したデバイスの種類に応じたアプリのレコメンドが行われても面白いだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura