川崎重工は12月21日、水や蒸気を用いずに低NOx燃焼が可能な水素専焼ドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼技術を開発し、ドイツで実施した燃焼試験において低NOx性能を確認したと発表した。

ガスタービンでの水素燃焼は、水素の燃焼速度が速いことから燃焼が不安定になりやすく、火炎温度が高くなることから、NOxの発生量が天然ガス燃焼時の2倍近くになることが課題となっている。

同社はこれらの課題を解決するため、微小な水素火炎を用いることで逆火などの不安定燃焼を抑制し、かつ低NOx燃焼を可能とするDLE燃焼の基礎研究をこれまでに実施してきた。また昨年度からは科学技術振興機構からの委託を受け、微小な水素火炎を用いたガスタービン燃焼器の開発に取り組んでいる。

今回、独アーヘン工科大学の高温/高圧燃焼試験設備にて水素燃焼試験を行い、NOx発生量が大気汚染防止法のNOx規制値84ppmを大きく下回る40ppm以下になることを確認したという。

同社は今後、2017年を目標に燃焼器の完成を目指すとともに、ガスタービンに搭載しての技術確立にも取り組むとしている。

アーヘン工科大学の高温/高圧燃焼試験設備での水素燃焼試験の様子と低NOx水素専焼ガスタービン燃焼器