落合監督も絶賛した長打力。中日・福田永将、来季は新外国人とレギュラー…

天性の長打力
 2002年から11年連続Aクラス入りし、落合博満監督が率いた8年間には5回の日本シリーズ出場と黄金時代を築いたものの、2013年以降は3年続けてBクラスと一気に低迷している中日。

 山本昌をはじめとしたベテラン勢の現役引退により、世代交代期にもあるチームでは、次代を担ってほしい若手が頭角を現している。

今季は、高卒3年目の若松駿太が6月2日の埼玉西武戦で初勝利を挙げると、そこから10勝に到達して先発ローテーション定着の期待を寄せられている。また、福岡ソフトバンクの育成選手として3年間を過ごし、中日で支配下登録された亀澤恭平は、開幕からシーズン通して一軍でプレーし、さらなる飛躍が求められている。

 今季の中日で、大きなきっかけをつかんだ選手と言えば、この二人になるのだろう。
 だが、あえてスポットライトを当てたいのは福田永将である。

 強豪・横浜高では1年時からマスクを被り、シャープなスイングから放たれる打球は超高校級と評された。ドラフトが近づくと、捕手としての将来性には疑問が残るというスカウトが少なくなかったが、前年の平田良介に続いて天性の長打力を買った落合監督が、高校生ドラフトで堂上直倫に続いて指名する。




一時はポジションが決まらず
 入団直後の春季キャンプでは一軍に抜擢されるも、1年目はウエスタンで9試合の出場に終わる。そのオフに内野手に転向し、打撃面では豊かな将来性を示すようになる。そして、3年目の2009年、7月7日の東京ヤクルト戦に代打で初打席に立つと、押本健彦から打った瞬間にそれとわかる本塁打を放つ。落合監督が「やはり、あいつは何か持っている」と笑顔を見せた一軍デビュー。そんな衝撃に反して、その後も一進一退という状態が続く。

 2011年10月19日の東京ヤクルト戦は、中日が初の連覇に向けて天王山になると思われた本拠地最終戦だった。
 だが、前日に優勝を決めたことで消化試合になると、この年限りでの退任が決まっていた落合監督は、自ら思い描いていた“数年後のスタメン”を上位打線に並べる。一番・大島洋平、二番・岩﨑達郎(現・東北楽天)に続いてコールされたのは、三番サード・福田だった。守りでは、ぎこちない動きで悪送球をしてしまうが、バットでは4回裏に中前安打を放ち、続く四番・平田の三塁打でホームを駆け抜ける。落合監督も、福田の可能性に期待を寄せていたことがわかった。

 しかし、翌2012年には捕手へ再転向するなど、持ち前の打力を生かすためとはいえ、ポジションが決まらない“住所不定”の状態が続く。
 もう代打としてしか生き残る道がないのかと思われてきた今年、福田は技術面で大きなきっかけをつかむ。軸足の付け根に重心を移すという感覚を理解し、左肩が早く開いてしまうクセも、右肩を出さないというイメージで修正できるようになる。すると、スイングの際に上下の動きに連動性が生まれ、オープン戦では打率.483、4本塁打13打点と覚醒。開幕一軍に名を連ね、阪神戦で骨折した森野将彦が戦列を離れるとファーストでスタメン出場し、思い切りのいい打撃で7連勝の原動力となり、開幕3連敗で躓いたチームを浮上させた。




来季、ビシエドとのレギュラー争いを制するか
「今年の福田は違う」

 谷繁元信監督をはじめ、チームメイト、ファンやメディア、すべての人たちがそう感じた活躍ぶりも、対戦相手から徹底分析されるようになると苦しむ場面もあった。そして、6月26日、正真正銘のブレイク寸前で登録を抹消される。もう少し我慢してもよかったのではないか。また、チームの変化の象徴だった福田を戦列から外せば、また昨年までのチームに戻るという見方もあったが、優勝を目指して最善を尽くす谷繁監督の判断なのだ。この壁は、福田自身が誰からも文句を言われない働きを見せて打ち破るしかない。もちろん、福田もそのことを十分に理解している。

 来季は、新外国人のダヤン・ビシエドがファーストに予定されている。それでも、「ファーストのレギュラーを獲るつもりでプレーする」と、福田も決意している。そんな福田がファーストのポジションを奪い取れば、ビシエドは経験豊富なレフトにまわるはずで、それはチームにとってもプラスに働くのではないだろうか。

 オフには2016年仕様のバットを発注し、85.7cmのヘッドに重みを感じられるものに決めた。技術的な気づきで上昇気流に乗った福田は、精神面の充実で真のブレイクを果たせるか。来季は大いに注目してみたい。