IDC Japanは12月14日、2015年上半期の実績に基づいた国内における外付型エンタープライズストレージシステム市場の2019年までの予測を発表した。これによると、国内の外付型エンタープライズストレージシステム売上額は2014年が前年比2.6%減の1878億300万円となり、2015年は同6.0%増の1989億7800万円を見込んでいる。また、国内の外付型エンタープライズストレージシステム売上額の2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.7%を予測している。

国内の外付型エンタープライズストレージシステム売上額予測、2014年~2019年

2015年のエンタープライズストレージシステムの売上額が前年比で高い伸びになるのは、上半期(1月~6月)を主体にメインフレーム向けの大型更新案件が金融、官公庁を主体に集中したことや、オープンシステム向けが仮想化環境(サーバー仮想化、デスクトップ仮想化)やクラウド環境(パブリッククラウド向けとプライベートクラウド向け)で高成長を継続しているためだという。

2015年の外付型エンタープライズストレージシステム売上額のクラス別構成比は、ハイエンド(システム価格3000万円以上)が29.2%、ミッドレンジ(同500万~3000万円未満)が37.1%、ローエンド(同500万円未満)が33.7%と予測。また、2015年のクラス別の前年比成長率はハイエンドが5.6%増、ミッドレンジが9.0%増、ローエンドが3.1%増となる。

長期的な減少傾向を続けてきたハイエンドが前年比5.6%増という比較的高い成長率が見込まれるのは、メインフレーム向けの大型更新案件が寄与している一方、ミッドレンジは最も高い成長率となるが、これはミッドレンジの高信頼性と高機能およびコストパフォーマンスの高さが評価されて仮想化やクラウド環境への導入が進んでいるためだという。

さらに、ミッドレンジではオールフラッシュアレイやハイブリッドフラッシュアレイなどフラッシュストレージの比率が上昇しており、これもミッドレンジ市場の伸びを支えている。同社では国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額の2014年~2019年のCAGRを1.7%と予測しており、2019年の国内の外付型エンタープライズストレージシステム売上額は2047億1000万円に達すると見通しだという。加えて、クラス別のCAGRはハイエンドがマイナス3.0%、ミッドレンジが4.0%、ローエンドが2.9%と予測している。

同社のエンタープライズインフラストラクチャ/IPDS/PCsグループディレクターの森山正秋氏は「国内エンタープライズストレージシステム市場の今後の5年間で、ストレージサプライヤーに求められることは、ITインフラストラクチャ市場のトランスフォーメーションの大きな流れの中で自社の戦略や製品/ソリューションの価値をチャネルパートナーやクライアントに対して明確に提示し、その選定対象であり続けることである」と分析している。