労務行政研究所は12月9日、企業のマイナンバー対応状況について実施したアンケートの調査結果を発表した。

同調査は、「労政時報」定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した本社に勤務する417社の人事労務・総務担当者を対象に実施された。

2015年11月時点におけるマイナンバーの収集に向けた事務の対応状況

2015年11月11~18日の調査時点、企業のマイナンバー収集事務の対応状況を見ると、「対応中で、収集に向けた各種整備を進めている」が59.2%で最も多く、「対応はほぼ完了しており、後はマイナンバーを収集するだけ」が39.6%と約4割を占めた。「まだ対応していない」のはわずか1.2%にとどまっており、各社とも2016年1月の本格運用開始に向けて準備を進めていると見られる。

2015年11月時点におけるマイナンバーの収集に向けた事務の対応状況

実務面の課題

実務面における課題を聞いたところ(複数回答)、50.4%と半数以上が「従業員やその家族のマイナンバー収集・保管・廃棄」と回答した。以下、「組織的・人的・物理的・技術的などの安全管理措置」41.2%、「事務手続きの変更に伴う業務量の増大」40.0%と続いている。

マイナンバー制度への対応で実務面で課題となっている点

事務取扱担当者の人数

事業者は、マイナンバーを取り扱う事務の範囲および特定個人情報などの範囲を明確にした上で、マイナンバーを取り扱う事務に従事する担当者(事務取扱担当者)を明確にしておく必要があり、事務取扱担当者の特定状況では、「特定している」が92.8%と、ほとんどの企業で対応していた。

さらに、具体的な人数の回答があった173社における人数と分布を見ると、1社当たりの事務取扱担当者は規模計で平均8人、中位数は4人であった。

規模別の傾向を見ると、当然ながら、規模が大きくなるほど担当者の人数が多くなることがわかる。最頻値は1000人以上で「5~6人」21.1%、同300~999人が「3~4人」39.3%、同300人未満は「1~2人」55.0%となっている。

教育・研修実施状況

マイナンバーの適正な取り扱いのために、事業者は、事務取扱担当者の監督や、事務取扱担当者の教育の措置を講じなければならず、教育・研修状況について見ると、事務取扱担当者に教育・研修を「実施した」企業は50.6%、「実施する予定」は38.6%となっている。

この両者を合計すると89.2%に上り、9割弱の企業で教育を「実施する」と回答している。

また、マイナンバーの取り扱いに際しては、事務取扱担当者だけでなく、従業員の正確な理解とルールの順守が重要となり、従業員に教育・研修を「実施した」企業は35.9%、「実施する予定」の企業は26.0%で、両者を合計すると61.9%となる。6割超の企業が従業員への教育を行うことがわかった。

制度対応に要した初期費用

マイナンバー制度への対応に要した初期費用の総額(新たに人材を採用したなどの人員面の費用は除く)を尋ねたところ、「10万円未満」が25.0%と最も割合が高く、以下、「10万~50万円未満」20.2%、「50万~100万円未満」16.6%と続く。全体の61.8%が100万円未満となっている。

副業発覚時の対応

マイナンバー導入により各人の所得が捕捉しやすくなり、「副業」の発覚も増えるといわれている。就業規則に「副業禁止」の規定を設けているかという質問については、「副業禁止規定がある」企業は83.5%に達した。申告すれば認める企業も見られたが、少なくとも”会社に無断で”副業を行うことは8割超の会社が禁止している。

就業規則における副業禁止規定の有無と、発覚時の対処方法