宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月7日、JAXAが開発した改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)の運用を終了したと発表した。

AMSR-Eは、2002年5月4日に打ち上げられた米国の地球観測衛星「Aqua」に搭載され、地球から放射される微弱な電波を観測することで、海氷、海面水温、水蒸気、降水、土壌水分など、地球全体の水に関する情報を昼夜の区別なく、天候にも左右されずに計測することができた。設計寿命を超える9年5カ月間継続的に観測を行い、気象予測の精度向上や、漁業情報サービスセンターなどの漁海況情報作成に利用された。

2011年10月4日に定常観測に必要なアンテナの回転速度を維持できなくなったため観測を停止し、2012年12月4日に低速回転で観測を再開してからは、後継センサであるAMSR2(2012年5月18日打ち上げの水循環変動観測衛星「しずく」に搭載)との相互校正に利用されていた。

しかし、低速での回転も維持できなくなったため、2015年12月4日14時30分頃に観測および回転を自動で停止し、AMSR2の並行運用が3年となり相互校正に必要なデータが取得できていることからAMSR-Eの運用を終了することとなった。

JAXAは「AMSR-Eが切り開いた高解像度の全球の水循環変動の長期観測とその現業利用は、AMSR2によって引き継がれ、実利用と水循環・気候変動研究の両面での貢献を継続しています」とコメントしている。