ニコンのFXフォーマット(フルサイズ)対応大口径標準ズームがモデルチェンジした。新しい「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」には、CIPA基準で4.0段分の補正効果を持つVR(手ブレ補正)機構が搭載されたほか、より正確で安定した絞り制御が可能な電磁絞りも組み込まれた。光学系には、ニッコールレンズでは初となるEDガラス非球面レンズ、すでにおなじみのナノクリスタルコートなどを採用。画質面でも期待できる。

希望小売価格は税別287,500円(税込310,500円)。ロック機構付きの花形バヨネット式フード、レンズケースが付属している。大手量販店の店頭価格は税込280,000円前後だ(筆者調べ)。

ニコンAF-S 24-70mm F2.8 E ED VR。価格は税別287,500円。大手量販店の店頭価格は税込280,000円程度。今回はD810との組み合わせで試用

大きく重くなった、その訳は

新しい「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」(以下、新24-70mm)と、従来モデルである「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」(以下、旧24-70mm)には、いろいろなちがいがある。一つは、より大きく重くなったことだ。旧24-70mmは最大径83×長さ133mm、重さは約900gだったが、新24-70mmは最大径88×長さ154.5mm、重さ約1,070g。比べると5mm太く、21.5mm長く、そして170g重くなっている。

新24-70mmが大きく重くなった理由の一つはカメラの高画素化だ。なにしろ、旧24-70mmが発売された2007年当時は、まだ1,200万画素の時代だったのが、今や5,000万を超える画素数に負けない解像力がレンズに要求されるのだ。ちなみに、フルサイズ一眼レフの「D810」と組み合わせると、2,110gのセットとなる(バッテリーとメモリーカード、レンズフードを装着。フードは実測で60gだった)。

VR機構が搭載されたこともサイズと重量には影響しているはずで、結果、レンズ構成は11群15枚から16群20枚へと増加。旧24-70mmにはEDガラスレンズと非球面レンズを各3枚使っていたのに対し、新24-70mmにはEDガラス非球面レンズ×1枚、EDガラスレンズ×2枚、非球面レンズ×3枚、高屈折率ガラスレンズ×1枚を採用するなどアップグレードした。

また、外部に露出している前玉前面と後玉後面にはフッ素コートを採用。汚れや水滴、皮脂などが付着しにくく、かつ拭きとりやすいため、悪条件でも撮影に支障をきたすリスクが少なくなるし、メンテナンスもしやすい。もちろん、フレアやゴースト対策の切り札的存在のナノクリスタルコートも採用している。

太陽を画面内にフレーミングしたが、フレアはなく、ヌケのよい仕上がりとなった。ゴーストもあまり目立たない。ナノクリスタルコートの面目躍如といったところ (写真をクリックして拡大すると、「原寸大画像を見る」ボタンが現れます)

写真左は24mm時。広角端でもっとも長くなるが、フード装着時には、伸びる部分は隠れるので、見た目の長さは変わらない。写真右は70mm時。50mm付近でもっとも短くなって、望遠端の70mmでは少し繰り出す。ズーミングによる重量バランスの変化は大きくはない