2015年11月下旬~12月にかけて、店舗グラフィックを一新したマクドナルドの店舗が営業を開始している。

これまでは、日本国内のどの店舗も内装はグローバルのもので統一されていた(つまり、アジア圏は全て同じデザインだった)が、今後は日本ローカルの内装デザインも順次導入していく。「マクドナルド 中央林間駅前店」で行われた報道向け内覧会では、デザインのお披露目とともに、このプロジェクトの経緯が説明された。

TYMOTEデザインの「中央林間駅店」内観。和を意識した“紋様”をマクドナルドの商品をイメージしたアイコンと組み合わせた、親しみやすさや遊びごごろを感じさせるデザイン

日本人デザイナーによるグラフィックが導入される店舗は、「中央林間駅店」(12月4日よりオープン)に加え、「田端駅前店」「中野南口店」(オープン済み)の3店舗。「中央林間駅店」「田端駅前店」の店舗グラフィック・デザインをgroovisions(グルーヴィジョンズ)が、「中野南口店」および「中央林間駅店」をTYMOTE(ティモテ)がそれぞれ担当しており、来年度以降も「久喜インター店」への導入が予定されている。

groovisionsが手がけた「田端駅前店」

日本マクドナルド店舗開発部の佐藤広樹氏によると、「海外では500平米の店舗などが多く、日本は200平米程度がスタンダード。サイズ感が異なるため、デザインもそれに適したものに仕上げることが、日本のお客様に求められるものだと感じた。店舗ごとの地域特性に合わせた店舗空間を創出しながら『日本らしさ』を取り入れることで利用客にマクドナルドをより身近に感じてもらい、店舗体験を一層楽しんでもらいたい」とのこと。

今後もこの日本オリジナル内装の導入店舗は増える予定だが、全店一斉導入ではなく、顧客ニーズや近隣店舗の状況を考慮した上で、この新グラフィックが適していると判断された店舗への導入が進められるということだ。

日本マクドナルド店舗開発部 佐藤広樹氏

デザインを担当したTYMOTEは、「ハンバーガーやポテト、ナゲットなどマクドナルドのアイデンティティを用いて、それらをモダンな和文様としてデザインを組み立てた。それぞれのパーツが正方形で構成されており、柄を部分的に切り出したり細かく並べてタイルのような使い方をしたりと、様々なレイアウトが可能です。自分たちにとってマクドナルドは子供のころからとても身近な存在だったが、新しいデザインの世界観のもと、みなさんもマクドナルドで過ごす時間を楽しんでもらえたら嬉しい」とコメントした。

それぞれのパーツが正方形グリッドで構成されているため、店舗の形状に合わせて有機的に落とし込みができる

左手前はポテトを口に入れているシーンを文様にしたデザイン

また「未来のデザインを支える若者たちに、もっとデザインの現場に触れて欲しい」というマクドナルドの意向から、TYMOTEが美大生に直接店舗グラフィックデザインの実地講義をするという取り組みも行われ、参加した武蔵野美術大学の学生は「もともとあるマクドナルドのイメージを大事にしながらも日本らしさを形にしている。どんな形でも対応出来るデザインがすごいと思った」「1店舗ではなく様々な店舗に対応するためのデザイン、という発想に驚いた。カラフルなのに落ち着く色味も素敵だと思う」と話していた。

なお、日本マクドナルドは「モダンバーガーレストラン」をビジョンとして、2018年までに全店舗中90%の店舗の改装を掲げている。今後の動向にも注目したい。