リクルートテクノロジーズの研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)は2015年10月、IoT技術研究の一環として「Physical Web」に対応したスマートコントローラの開発を発表した。

家電型ビーコンを想定したコントローラ「仮想テレビ」/「仮想エアコン」

ATLは、世の中の先進的技術からソリューションを作り出し、将来のサービスへの接続を模索する先端研究組織。これまで提唱してきた「Physical Webが実現する世界観」に関連して、「家の中でPhysical Webを活用したらどんな体験が可能か?」を実証実験するため、取り組みに至ったという。

ビーコンを活用する技術としてはPhysical Webの他に、アップルが提供する「iBeacon」が存在するが、これは、Appleが決めた規格をiOSのSDK(ソフトウェア開発キット)を通して利用する。しかし、Physical Webはオープンスタンダードな標準規格のため、誰でもビーコンやサービスを開発できる可能性があるとし、ATLではPhysical Webの標準化の促進を検討している。特に、Physical Webを通じて、「今、この場で必要な情報」を取得でき、"近くのものとつながる"特性の応用として、「家の中の生活がどのように変わるか」に注目しデモを行った。

デモでは、家電型ビーコンを想定して対応するコントローラを開発。これにより、家の中でスマートフォン(Physical Web対応ブラウザ)を見ると、周囲の家電のコントローラがリストアップされ、そのまま操作可能という体験が実現できる。各デバイスはPhysical Webのビーコン(Eddystone-URL)として振る舞い、URLを発信。Bluetooth Low Energy(BLE)のサービスを提供しているため、スマートフォンが近づくとPhysical Web対応のブラウザ上に一覧画面を表示させることができる。

Webブラウザ上で機能するスマートコントローラ

技術的には、"動的なリモコン"を実現したため、リアルタイムでテレビの最新番組や、部屋の室温が表示されるなど、Webならではの情報を付加した次世代型リモコンを容易に作成できるという。今回使用したテレビ向け・エアコン向けのコントローラ(Webページ)のHTMLソースは、事前に用意した独自のWeb Componentsを利用しているため、複雑なBLEの仕様について知識がない開発者であっても、下図のような短いHTMLを書き込むだけでPhysical Webと連動して機能するコントローラを作成することが可能になるという。

独自のコンポーネントでデザイナーでも開発できるインタフェース