ファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所は25日、両者間のグローバルパートナーシップを強化する新たな合意書を締結したことを発表した。

ファーストリテイリング、難民支援を実施(画像はイメージ)

すでにリサイクル衣料の寄付などを実施

同社は2006年から、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し、世界の難民・避難民への衣料支援を行ってきた。これまでに、世界37の国と地域の難民・避難民に1,000万点以上のリサイクル衣料を届けている。

2011年には、より包括的に世界の難民・避難民問題の解決に寄与するため、アジアの企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結した。衣料支援だけにとどまらず、緊急支援や自立支援などにも取り組んでいる。

同社では、深刻さを増す難民・避難民問題の解決には、民間企業によるさらなる支援が必要と考え、これまでよりも幅広い分野での支援活動を実施することを発表した。UNHCRとのグローバルパートナーシップに基づき、新たに実施する、難民・避難民支援の取り組みは以下の通りとなる。

3年間で総額1,000万ドル(約12億円)の支援

2016年から3年間にわたり、UNHCRに対し総額1,000万ドルの支援を実施する。1,000万ドルは、最も緊急性の高い人道危機に対する緊急支援としての拠出に加え、難民の自立を支援するプログラムに活用されるという。2016年からアジアを中心に開始する予定で、職業訓練や技術習得の機会を提供する。UNHCRが世界各地で実施する衣料配付に付随するコストにも充当するとのこと。

国内外のユニクロ店舗で難民雇用を100名に拡大

国内外のユニクロで計100名を目標に難民の雇用を拡大する。生活基盤を失った難民とその家族の自立を支援することを目的に、店舗での就業機会を提供するもので、現在は日本のユニクロ店舗で計13名が就労している。店舗でインターンシップを経験し、適性を見極めた後、本人の希望を確認の上、雇用するという。

バルカン半島諸国、アフガニスタンに越冬支援

ギリシャやセルビアなどバルカン半島諸国やアフガニスタンに逃れている難民・避難民に対し、越冬支援として、新品の極暖ヒートテック15万点を2015年末までに寄贈する。

新たな取り組みにあたり、同社の代表取締役会長兼社長 柳井 正氏は「難民問題は世界で最も深刻な問題だと考えています。子どもたちをはじめ、多くの人々の生存権が脅かされていることが一番の問題。UNHCRとの支援活動により、ひとりでも多くの難民に必要な服と生きる希望を届け続けたいと考えています」とコメントした。

国連難民高等弁務官 アントニオ・グテーレス氏によると、現在、世界で6,000万近い人々が家を追われており、そのうち2,000万人が難民にあたるという。

「数百万にもおよぶ難民の家族を救うために、民間セクターによる支援が求められている。資金援助だけではなく、従業員や取引先企業などの力を結集して難民支援に取り組むファーストリテイリングに対し心より感謝する」と同社の支援を評価した。