NTTドコモは11月26日、5G技術検証実験を実施し、ミリ波の周波数帯(70GHz帯)を用いて、実際の商業施設における受信時2Gbpsを超える無線データ伝送に成功したと発表した。10月13日に東京都港区の六本木ヒルズ森タワーでノキアソリューションズ&ネットワークス(ノキアネットワークス)と実験を行った。

実験では、基地局アンテナを商業施設内の1カ所に設置し、基地局から30~90m離れた商業施設内の通路で携帯電話端末に相当する移動局装置を動かすことにより実施した。これまでミリ波帯の電波は、直進性が強く、減衰がより大きいことから、通信エリアが基地局からの見通しのある狭い範囲に限られ、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた。

実験では、電波を特定の方向へ集中することによりビームを形成し、電波を遠くまで届けた。さらに、移動する端末の動きに電波を合わせることにより、基地局からの見通しが確保しにくく、電波が複雑に反射を繰り返す環境での通信エリアの狭さを解消し、ミリ波の移動通信への利用の可能性を高めた。また、六本木ヒルズ森タワーの25階に基地局を設置し、屋外の地上階にて移動局装置を動かす実験も行った。今後も5Gの実用化に向けてさまざまな環境での屋外実験を実施するという。

ノキアネットワークスとの無線データ伝送実験

これらの実験に加えて、11月12日に韓国(水原市)でサムスン電子と5G技術検証実験を実施。28GHz帯の高周波数帯を用いて、基地局から見通しのある道路上を時速約60kmで高速移動する顧客環境を想定し、120mm×60mmのスマートフォンに内蔵可能な新たな小型アンテナを利用して、受信時2.5Gbps以上の無線データ伝送に成功した。

実験では、電波強度の減衰が大きく、これまで移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた高周波数帯について、自動車や電車などでの移動時における5G高速通信での利用の可能性を実証。今後は、日本においても電波免許取得後に屋外実験を開始する。

サムスン電子との5G技術検証実験