Concur Technologiesの日本法人であるコンカーは11月18日、中堅・中小企業向けの出張・経費管理統合サービスである「Concur Standard」シリーズを日本で展開することを発表した。まず、経費管理クラウドサービス「Concur Expense Standard」を同日より開始した。

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

同社はこれまで、従業員数1,000人以上のグローバル展開・グループ展開しているような大企業を対象に、サービスを提供してきた。中堅・中小企業への展開にあたって、同社の代表取締役社長である三村真宗氏は次のように説明した。

「現在、日本では大企業クライアントを中心とした事業構成となっており、中堅・中小企業は全体の約15%前後となっている。これに対し、米国では中堅・中小企業の実績が約半数。また、国内企業におけるコンカーの普及率は従業員3,000人以上の企業では14%、1,000~3,000人規模の企業は9%であるのに対し、500~1,000人規模の企業では2%、100~500人規模の企業では1%と、大規模企業と中規模企業以下の普及率に大きな差が生じている。時価総額トップ100の日本企業に対して、15%の普及を目標にしてきたが、2015年末時点で14%の普及を見込んでおり、大企業への導入は順調に進んでいる。今後は中堅・中小企業もターゲットに展開していく」(三村氏)

「Concur Standard」 シリーズは、これまでアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアで展開されており、今回英語圏外では日本が初めての展開になるという。

「Concur Expense Standard」は、大企業向けに提供されてきたプロフェッショナル版の基本機能とほぼ共通だという。プロフェッショナル版と比較すると、スタンダード版は1つの組織での利用を想定していることから、組織の拡張性機能を限定し、サービス導入時のコンサルティングで発生する導入費用を無償化している。

「プロフェッショナル版では、コンカーのコンサルタントが、ユーザー企業の担当者の要望を元に、パラメータの設定を行っていたが、スタンダード版では、ユーザー企業が自身でパラメータを設定してもらう。従来、この導入費用の部分で年間約4割のボリュームとなっていたが、この部分を無償化することによって、中小規模の企業でも導入しやすくしている」(三村氏)

プロフェッショナル版とスタンダード版の機能比較

またコストだけでなく、機能が限定されている分、導入期間を短縮することもできるという。セルフサービス型の導入ウィザードが搭載されており、そのほか詳細なマニュアルや、同社による電話サポートによって、専門のITスキルなしに導入が可能だとしている。10月に試験的に導入した300人規模の企業では、21日での稼働を実現しており、同社の国内最短導入を記録しているという。

「Concur Expense Standard」の契約から利用開始までの流れ。「Welcomeキット」は、「Concur Expense Standard」に設定する各種情報を事前に整理するための設定シート

「Concur Expense Standard」の設定画面

また、オープンプラットフォーム戦略に基づき、9月に提供を開始した「App Center」にも対応し、日本交通グループの「全国タクシー」や、国内外の出張・経費精算関連の外部サービスやアプリケーションと連携して、出張手配や経費明細情報の入力作業など、非効率な間接業務の自動化をサポートする。

同社はまず、2016年は従業員数300~1,000人規模の中規模企業を対象とし、2017年以降に300人未満の小規模企業へ展開していくとしている。なお、「Concur Expense Standard」は、今後3年間で400社の獲得を目標に掲げられている。