GSユアサは11月9日、金属リチウムの負極材料と「硫黄-多孔性カーボン複合体」正極材料とを備えるリチウム-硫黄電池の充放電サイクル性能を飛躍的に高めることに成功したと発表した。

硫黄は、低コストで資源的に豊富であること、環境有害性が低いことに加え、その理論容量が従来のリチウムイオン電池用正極材料に比べて高いため、次世代リチウム二次電池の正極材料として期待されている。

しかし、正極の放電反応により生成する多硫化物の反応中間体の電解液への溶解度が高いために、正極から多硫化物が容易に溶出すること、溶出した多硫化物が正負極間で酸化還元反応を繰り返すため、自己放電が生じて容量が大きく低下することから、実用化には至っていないのが現状だ。

そこで同社では、電解液添加剤により多硫化物の溶出を抑制するとともに、カチオン交換膜をセパレータに用いることで、多硫化物の正負極間の移動に起因する自己放電を防止した。その結果、硫黄-カーボン複合体正極材料あたりの容量を損なうことなく、この材料を用いたリチウム-硫黄電池の充放電サイクルにともなう容量低下を止めることに成功した。

同社は2020年のシリコン-硫黄電池のサンプル出荷開始を目指している。

シリコン-硫黄電池の実用化に向けたイメージ図

リチウム-硫黄電池の充放電サイクル特性