情報通信研究機構(NICT)統合データシステム研究開発室は11月5日、クレアリンクテクノロジーの協力の下、10Gbpsを超える長距離広帯域伝送網(LFN)でも遅延やパケットロスに強い通信プロトコル「HpFP(High-performance and Flexible Protocol)の」開発に成功したと発表した。

今回開発したプロトコルにより、10Gbpsインターネットでも、大容量ファイル転送や高速なWeb閲覧、低ノイズによる4K/8K映像伝送などの広帯域ネットワークを十分に活用できるアプリケーションの利用が可能になる。

HpFPは、NICTがこれまでにJGN-Xテストベッド環境で行ってきた10Gbpsを超える長距離広帯域伝送網(LFN)におけるデータ通信実験成果を基に、クレアリンクが開発したTCP高速化パケット伝送制御技術「xTCP」を用いて、独自のアルゴリズム設計により実装したトランスポート層のTCP互換(プログラムレベルで置き換え可能な)通信プロトコル。

HpFPプロトコルの基本的な設計概念 資料:NICT

10Gbpsネットワークでさまざまな遅延やパケットロスを与えた結果を、TCPと比較すると、遅延やパケットロスがない環境では、TCPもHpFPもほぼ利用できる最大通信速度(ワイヤーレート)を達成しているという。

一方、遅延やパケットロスが大きくなると、TCPは通信速度が大きく低下するのに対し、HpFPは通信速度に変化がないことがわかった。例えば、パケットロス0.1%で遅延10ミリ秒の場合、HpFPとTCPの速度比は約145倍になる。HpFPは、パケットロス1%で遅延100ミリ秒の場合でも、ほぼ同じ結果を得ている。

今回開発したHpFPとTCPの比較(10Gの通信実験結果) 資料:NICT

NICTは、今回のプロトコル開発成功に伴い、試験実装版(α版)の公開を開始した。