2016年1月からインターネット映像配信サービス「Hulu」で配信される連続ドラマ「ニーチェ先生」。「Hulu」配信の約1週間後、地上波では読売テレビ(関西地区)での放送が決定した。

このドラマは「月刊コミックジーン」(KADOKAWA刊)で連載中の「ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~」(漫画・ハシモト / 原作・松駒)が原作の痛快コメディー。コンビニエンスストアを舞台に個性豊かなコンビニ店員たちの日常を描く。脚本・演出は数々のヒット作、話題作を手掛けた福田雄一が務める。ダブル主演を務める間宮祥太朗、浦井健治が語った撮影の感想、ドラマの見所などを紹介しよう。

今回、連ドラ初主演の間宮が演じるのは大学の仏教学部に在籍するニーチェ先生と呼ばれる新人コンビニ店員の仁井智慧(にいともはる)役。悟りを開いたような態度で客や店員を翻弄する仁井は「お客様は神様じゃねえのかよ!」と因縁をつける客に「神は死んだ」と言い放つ個性的キャラクターだ。間宮は「頭の奥の奥までは読めない男ですよね。無味無臭っぽいのに色だけはやたら激しくて、すごく存在感はあるのに温度は感じない。その一方で、すごく日本的とも思うんですよ。皮肉を言うけど決してジョークじゃなく、生真面目な事を言っている。そこに多少毒が含まれているけど、毒を吐こうとしている訳ではない。その辺は日本的なキャラクターだなと思いますね」と役柄について語った。

キャラクターが強い役柄のため、原作ファンの注目度も高い仁井役。だが、気負いはなく、間宮は「漫画と同じ土俵で勝負しようとすると絶対漫画の可能性には勝てない。漫画には漫画、映像には映像の武器があると思うし、自分は三次元の仁井を演じるつもりです。三次元の仁井を構築する土台として漫画の仁井からもらっている部分は多分にありますが、ファンに受け入れられなかったらどうしようとはあまり考えずにやっていますね」とドラマならではの魅力を表現する事をアピール。無駄なものを摂取しないという仁井の設定に合わせて体重を落とし、原作の雰囲気に合わせて髪の毛も短くして撮影に臨んでいる。

浦井が演じるのは就職浪人中のコンビニ店員、松駒役。常識人だが、社会に対する認識が甘く、一向に就職が決まらないという設定だ。同じく連ドラ初主演となる浦井は「福田監督から『松駒君は浦井君そのものだからそのままで良い』と言われていたので、とても楽しく演じられました(笑)。もちろん、原作ファンの方に敬意を持って、松駒君をやらせていただける事に誇りと共に感謝を込めて演じたので、楽しんでいただけたら良いなと思っています」と自然体ながら気を引き締めて演じた事を明かす。

松駒は長セリフの多い難役だが、浦井は「台本をいただいてクランクインまで1週間ちょっとしかなかったんです。いただいてからは毎日、1日17時間くらいセリフを覚え続けて、クランクインに何とか間に合って、逆に撮影が始まってからは毎日終わった後に『楽しかったね』って笑顔で終われる現場になりました」とアピール。過去に数日間コンビニバイトをしたことがあるらしく、浦井は「元々コンビニだった場所をセットのコンビニとして復活させたので、すごくリアルだったんです。おでんや肉まんがあって、食べ物の陳列も完璧だったので、当時の感覚も掘り起こせました」とバイト経験が役作りに活かせたことも明かした。

ダブル主演を務める間宮と浦井は今回が初共演。初日、浦井は初対面とは思えないハイテンションで間宮にあいさつした後、フラッとどこかに行って、間宮から呆れられたらしく、浦井は「その時に仁井君と松駒君の関係性ができあがりました(笑)。間宮君とは同じ酉年生まれで一回り違いますけど、撮影が進むにしたがってどんどん仲良くなれました」と明かした。間宮は「すごくコミュニケーション能力が高くて、人の懐に飛び込むのがうまいなって思いました。12歳も年齢が上の先輩にこういう言い方はおかしいかもしれないですけど、とても愛くるしい(笑)」と浦井の印象を語った。間宮は兄貴っぽい一面もある浦井に信頼を寄せ、初主演もプレッシャーと感じずに撮影に臨めたという。福田監督、スタッフを交えて焼肉にも行ったらしく、2人は撮影外でも連絡を取り合う親しい関係に。

座長という意識はあまりなかったようだが、LINEでこの作品の関係者のグループを作ったという浦井は「短期間に皆で1つの作品を一緒に作るので、早めに共通の意識を持てるように、1人でやっていると感じないように、心細くならなければいいなと思っただけなんですけど、間宮君は『リアル松駒やん』って爆笑していました(笑)」と皆が演じやすい環境を意識したことを明かす。浦井の積極的なコミュニケーションの甲斐もあり、皆が良い作品を作ろうと一丸となって取り組みつつも笑いが絶えない撮影現場になったという。浦井は「楽しかったですね。出演者もそれを支えてくれるスタッフさんもプロフェッショナル。全ての人がこの作品を面白くしよう、楽しくしようという意識があって、自分自身にとっても、楽しい現場でした。あるスタッフさんが『学生時代を思い出す』と仰っていたんですけど、それくらい皆が本当に全力で遊びました。その雰囲気、空気感が視聴者の皆様にお届けできる作品になったのではないかなと思っています」と胸を張った。

最後は配信、放送を楽しみにしている視聴者にメッセージ。間宮は「濃くないシーンはなく、全てが見所です。常に濃いキャラクターがでてきて、魅力はそのやりとり、会話の妙ですよね。何回もドライ、テストをやって本番をやると見慣れてくる部分があると思うんですけど、今回の現場は共演者の芝居を何回見ても楽しくて新鮮味がありました。セリフのおもしろさが大きいと思うんですけど、視聴者も何度見ても楽しめる作品だと思います」と作品の出来に手応えを感じている様子だった。浦井は「福田監督が心を込めて書かれた台本で、爆笑必至のドラマになっています。様々な方向から楽しんでいただける作品になっていますし、役者陣としては原作ファンにも納得していただけるような所を目指した部分もあるので、そういった所もしっかり見ていただきたいです。本当に笑いを堪えるのに必死の現場だったので、何も考えずに笑って『スッキリした』『元気になった』と思ってもらえるドラマになっていたらいいなと思います。ぜひ楽しんで下さい」とPRした。

■福田雄一監督からのコメント
えてして、こうした群像劇って主役が周りのボケ役によって沈んでしまうことがあり、特に間宮くん演じる仁井くんは無口なので、難しいところだったと思うのですが、間宮くんは見事な存在感で主役を誇示してくれました。

仁井くんのキャラクターは、ともするとお客様を傷つける危ういキャラクターですが、実写にする際、空気を読まず正論を言うキャラクターの色を強めて、ある意味のボケのポジションにしてみました。すべての発言は愛を持って言っているというスタンスです。間宮くんがそんな独特のキャラクターを見事に演じてくれたと思っています。

松駒くんは浦井健治くんの普段のキャラクターに寄せています。ミュージカルでとにかくカッコいいキャラクターを演じることが多い彼ですが、実は松駒くんにほど近い性格なので、とても書きやすく演じやすかったと思います。休憩時間の浦井、間宮の関係も、松駒、仁井の関係に近い雰囲気でやっていて、絶妙の空気が出せています。

今回の撮影で強く思ったのは、役者さんがそれぞれの相手が自分を面白がっているから、それに応えようとしてハジけているなということです。監督にでも視聴者にでもなく、目の前にいる共演者に応える芝居を全員がしていたように思います。なので、チームとしての熱は日を増すごとに高まりました。そんな熱がすべて作品に反映されていると思いますし、深夜ドラマにあるようでなかった独自ジャンルを築く新しいドラマに仕上がっていると思います


ドラマ『ニーチェ先生』は、インターネット映像配信サービス「Hulu」にて来年1月から独占先行配信。読売テレビでは1月下旬から放送スタート。