米Dellは、10月20日~22日(現地時間)、米テキサス州 オースティンで「Dell World 2015」を開催したが、期間中、ソフトウェア部門のトップである米Dell President Software GroupのJohn Swainson氏に、注力分野などを聞ける機会を得たので、レポートする。

ソフトウェア部門として、注力している分野はどこでしょうか?

米Dell President Software GroupのJohn Swainson氏

John Swainson氏:3つの分野があります。1つはネットワークなどのセキュリティ、2つ目はインフォメーションマネジメントでツールを使った管理、分析、データ移行などです。そして、3つ目はシステムマネージメントの分野で、Windows、クラウドなどの管理で、ビッグデータの活用などを促すようにする分野です。

EMCが持っているソフトウェアは、今の3つのうち、どれに当てはまりますか?

John Swainson氏:EMCにはソフトウェア部門がないなど、組織が異なるので、第一段階としてどのようなところにフィットするかを検討する。これには長い時間がかかるだろう。理解するだけでも6~9カ月かかり、統合には数年かかるだろう。

Boomi AtomSphereは、いつ日本で提供されますか?

Boomi AtomSphereは、クラウドベースのインテグレーションサービスプラットフォームで、クラウド間、SaaS間、クラウドからオンプレミス、オンプレミス間などで、アプリケーションデータの移行ができる。例えば、SalesforceのデータをSAPやOracleに持っていくことができるという。

John Swainson氏:すでに日本には2社のお客様がいる。今後はセールス部門を拡充し、スケールアップしていく予定だ。日本での発表は来年の初めくらいになりそうだが、日本市場で成功するためには、日本語の対応や日本語のサポートが必要なので、採用をやっていきたい。

IBMのようにサービス&ソリューションを拡充していくための戦略は?

John Swainson氏:Dellの戦略はIBMとかなり違う。IBMはソフトウェア&サービスが中心で、ハードには軸足を置いていない。Dellはまったく逆で、ハードウェアビジネスが中心だ。ハードのうち、半分はアプライアンスによるもので、デル全体の収益は90%以上がハードウェアからのものだ。したがって、Dellにとってはアプライアンスベースのソリューションを作っていくというのが自然な流れだ。

ハイブリッド向けソリューションで特に注力しているものはありますか?

John Swainson氏:Dell Cloud Managerがベースプロダクトで、VMのスケジュール、プロビジョニングができる。あと、アプリケーションのパフォーマンスマネージャであるFoglight、Data Protection、Dell Backup and Recoveryの計4つだ。あと、ユーザーID/アクセス管理ソリューションであるCloud Access Managerなどもある。

他社ではAIに関する研究開発をやっていますが、Dellの中にはそういうプロジェクトはありますか?

John Swainson氏:一番近いものはアナリティクスの分野だと思う。これは、行動を予測するというものだが、これらも機械学習というくくりには入っていると思う。ただ、人工知能といった場合、もっと細かな定義があると思うので、いまは市場ができつつある段階だ。今後はこの市場がどうなっていくか見守いくつもりだ。ただ、Dellのテーマは、問題があった場合、どうやって解決していくのかということなので、基礎研究の部分はベンチャー企業にやってもらい、市場が形成されてきたら、Dellとしてもフォローしていくだろう。現在はその段階にはない。