米Dellは、10月20日~22日(現地時間)、米テキサス州 オースティンで「Dell World 2015」を開催した。21日のオープニング ゼネラルセッションでは、同社会長兼CEOのマイケル・デル(Michael Dell)氏のほか、米Microsoft CEO サトヤ・ナデラ(Satya Nadella)氏が登壇し、今日のテクノロジがもたらすイノベーションについて紹介した。

「Dell World 2015」が開催された米テキサス州 オースティンの「Austin Convention Center」

会場周辺には多くのイベント広告が見られた

米Dell 会長兼CEO マイケル・デル氏

マイケル・デル氏は、冒頭に、先日合意に達したことが発表されたEMCの買収について触れ、「EMCはテクノロジーカンパニーとして有名な会社で、DellがEMCを買収すれば800億ドル以上の会社になり、世界で一番大きなエンタープライズシステムの会社になる。DellとEMCの組み合わせが顧客にユニークなガイダンスを提供する。Dellにとっても、EMCにとってもメリットがある」と、今回の買収が両社にとってメリットがある点を強調した。

また前日の記者会見でも同氏は、「EMCと組めるというのはワクワクしている。これによってサーバ、ストレージ、仮想化、PCというITの4つの分野で、ワールドリーディングの世界屈指の企業ができる。また、この2社が組むことで、極めて強いGo to Marketエンジンができ、中小企業や新興市場に対するリーチも広がる。さらに双方がR&Dやサプライチェーンもすばらしいスケールで持っている」と語っている。

Dellが考えるFuture Readyとは?

今回のイベントの大きなテーマは「Future Ready」(将来を見据えた準備)だ。では、Dellが考える「Future Ready」とは何だろうか?

これに対しマイケル・デル氏は講演の中で、「俊敏性、柔軟性、見える化はみなさんから毎日聞いていることだが、Future Reradyテクノロジのテーマでもある。柔軟性のあるインフラ、新しいワークロード、新しい波に対応できるインフラということだ。Future Reradyというのは、単に、既存のインフラを刷新することではなく、明日も使えるテクノロジによってビジネスが成長できるように、アプリのパフォーマンスを最適化していくことだ」と述べている。

そして同氏は講演中で「最終的な答えはハイブリッドクラウドにある」と述べるなど、今回のDell Worldでは、同社がFuture Reradyテクノロジの1つとして、ハイブリッドクラウドに注力する姿勢がうかがえた。

同氏は、ハイブリッドクラウドに注力する理由を「Dellには、コンバージドインフラをはじめ、未来のデータセンターのためのソリューションがそろっている。未来のデータセンターはハイブリッドクラウドモデルが大多数になるだろう。EMCの買収によって、ハイブリッドクラウドへの移行がより、早く、もっと安くできるようになる」と語っている。

「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」

製品としても、「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」というAzureを利用したハイブリッドクラウド構築用のコンバージドシステムをリリースしている。

マイケル・デル氏は、この製品を出した背景を「マイクロソフトとともに、ハイブリッドクラウドを実現していきたい。ワークロードをプライベートでも、バプリックでも、どこでも運用できることが重要だ。そういう未来を描いている」と説明している。

ゲスト出演した米Microsoft CEO サトヤ・ナデラ氏も「エンタープライズでは、お客様の現実に合わせなければならない、業界内の事情だけのことではでない。Azureの目標は、エコシステムを拡大し、新しいカテゴリ/需要を生み出すことだ。デバイスはすべて出尽くしたかといえばそうではない。クラウドでも同じことがいえる。選択肢が重要だ。単に2社間のパートナーシップを拡大することではなく、お客様のニーズにいかに応えていくか重要なのだ」と、ハイブリッドクラウドの重要性を語っている。

マイケル・デル氏と語る米Microsoft CEO サトヤ・ナデラ氏

一方でマイケル・デル氏は、クラウドを利用した場合の懸念材料としてセキュリティを挙げ、次のように語った。

「ビジネスのデジタル化では、ビッグデータよりビジネスの優位性を獲得することや、クラウドへの移行が必要になるが、一方で、ビジネスのリスクも管理する必要がある。デジタルトランスフォーメーションというのはデータ、洞察、知見が重要になる。データがいろんなデバイスを飛びかう中、ミッションクリティカルなデータをパブリッククラウドに移行した場合、きちんとした保護が行われるかどうかわからない。大きなビルともなれば、1万以上のノードが存在し、これらすべてが脆弱ポイントになる。サイバー攻撃はいまや産業になっており、グローバルで活動している。Dellはこの課題に取り組んでおり、End to Endのセキュリティを構築してきた。マルチエンジンのサンドボックス・テクノロジーも導入している。SonicWALLの次世代ファイアウォールも統合している。今後RSA、AirWatchとパートナーを組むことによって、セキュリティ機能をさらに統合していく」と、セキュリティにも注力する姿勢を見せた。

そして、「Dellはクラウドインフラではリーダーであった。調査会社のデータでは、「Dellは市場の平均より高い伸びを記録している。そして、ハイブリッドクラウドのためのあらゆるものがそろっており、ポートフォリオをさらに拡張しようと思っている。クラウド間の連携やセキュリティに取り組んでいこうと思っている」と述べた。