EMCジャパンは10月15日、都内で「EMC FORUM 2015」を開催した。同FORUMでは基調講演に加え、パネルディスカッション、同社のセッションやスポンサーセッション、事例セッションを実施した。

EMC FORUM 2015

EMC APJ プレジデント デビッド・ウェブスター氏

基調講演に登壇したEMC APJ プレジデント デビッド・ウェブスター氏は「ITやデータ、センサーの技術を使うことで各業界のビジネスの手法を根本的に変えることができる。これらは今後、さらに開発が進み、すべての業界に広がるためデジタルが変革をもたらす例だ。18カ国3000人のCIOに対して実施したアンケート調査によればIT、デジタルの変革を考えた時に新しい機会を予見すること、顧客の個別ニーズに応えること、アジャイルなイノベーション、リアルタイムでのオペレーション、透明性と信頼性の実証の5つ分野が鍵になると回答している」と述べた。

デジタルの変革を考えた時の5つの分野

また、アンケートによると5つのうち最も重要なものは何かという優先付けでは新しい機会を予見することが一番重要だと62%が回答しているという。しかし、新しい機会を予見することができる企業はそのうち12%しかなく、CEOやCIOの期待していることと実際にできることの間には大きなギャップがあり、このギャップはITが変えなればならないと指摘した。

さらに、同氏は「ITの管理手法は変わってきており、レガシーシステムを永遠に維持することよりも現在は市場にアプリケーションを出し、成功した後はまた新しいものを出していくという従来とは違うITの管理モデルを考えなくてはならない。そこで我々はソフトウェア主導型の世界にシフトすることを考えている。ソフトウェアは多くの課題を解決し、異なるスケールや異なるアプリケーション、異なるマネージメントモデルを可能にしていくものだ」と主張した。

ソフトウェア主導型へのシフト

しかし、同氏は「ソフトウェア主導型の世界にシフトするには非常に大きなプレッシャーがCIOなどにかかっている。新たなアプリケーションを出し、新たな顧客とやり取りができる方法を提供・支援する一方、どのような手法でコスト削減ができるのかという2つの事柄を同時に進めなければならないことがITの課題だ。そのような状況下において近年、モバイルとクラウド、ビッグデータ、ソーシャルで構成する第3のプラットフォームがトレンドだ」と語った。

第3のプラットフォーム

実際、IDCの調査によると2015年のIT支出は3.8兆ドルで約30%が第3のプラットフォームに支出されており、第3のプラットフォームへの支出が増加する一方、第2のプラットフォームへの支出が減少しているという。10~15年前の企業における注力分野はURPなど集中型のビジネスシステムでクライアントサーバーに多額の投資を行っていたが、現在では投資の統合やシステムの自動化によりコストを削減することに関心がある。投資が第2のプラットフォームから第3のプラットフォームにシフトし、2020年には4.6兆ドルへの拡大が想定されており、うち約2兆ドル程度(45%)が第3のプラットフォームが占める。

IT支出のグラフ

投資サイクルの変化

デビッド・ウェブスター氏は「次世代のITをどのように構築していくかについては、既存のITから新しいITへのリプレースは即時にできないため、既存のITの効率化を図りつつコストを削減し、新しいITに投資する。CIOマガジンによる調査ではクラウドサービスがトレンドとなっており、クラウドは効率的でコストが少ないITを提供できるほか、モビリティ、ビッグデータ、ビジネスインテリジェンスに対応することが可能だ」と述べた。

加えて「そのために我々は、まずクラウドを提供し、企業はクラウドを使用することでコスト削減が図れ、モビリティの基礎ができ、モバイルソリューションによりコスト効率を向上した組織の管理ができるため、さらなるコストの低減が可能だ。そして、アプリケーションの開発環境を提供することでスマートデバイスなどのデータ・分析中心型の次世代アプリケーションで支援していく。その後、すべてのデータをデータレイクに集め、そこからビジネスの意思決定を判断し、将来の新しい機会を予見する価値を提供できる。一方、新しいテクノロジーやITの採用は環境の安全性が障壁となっており、安全性の確保ができればITの変化と組織の変革が実現できる」と同氏は語った。