教育の現場では、数年前から知識を伝えるだけではなく、思考力や問題解決力、コミュニケーション力など、従来の学習方法では身に付かない能力を育てる“21世紀型スキル児”教育が注目されている。その“21世紀型スキル”に“情報通信技術に関するリテラシー”、いわゆるICT活用も含まれており、タブレットPCや2 in 1パソコンなどが、学習ツールとして使われるようになっている。

ちなみに、低学年の教育にはタブレット、高等教育になるにつれパソコンが教育現場に多く導入される傾向があるという(教育事業関係者)。小学校などではICTから得られる情報量よりも、イラスト作成や手書きなど表現力を育む機器が、高等学校以上では長文作成に対応しやすい機器が求められるのがその理由ということだ。

とはいえ、ICTの活用はまだまだ始まったばかり。ICTを学習のサポートとして活用している学校もあれば、ICTを学習の中心に据えて先進的な授業スタイルを実現している学校もある。ここでは、日本マイクロソフトが展開している教育機関向けのプログラム『Microsoft Showcase Schools』へ参加して、ICTの活用を積極的に進めている小学校の公開授業の様子を元に、教育現場でICTがどのように活用されているか紹介していこう。

まずは、熊本県人吉市立人吉東小学校(以下、人吉東小学校)でで実施された“公開授業研究会”を見てみよう。人吉東小学校では、電子黒板に加えて、2 in 1パソコンを導入しているが、授業では普通のノートを利用しており、ICTを学習のサポートに使うタイプだ。 各グループで1台のパソコンを使う方式で、端末にはOneNoteがインストールされている。教諭の端末と生徒の端末は、ネットワークでつながっており、生徒の端末で入力した内容を教諭が確認したり、入力した内容を電子黒板に表示したりしながら、授業を進められる仕組みになっている。公開授業のうち、4年生の理科では“実感を伴った理解を図る”や“考察を深める協働的な学び”がテーマとなっており、生徒自身が入力したデータや撮影した写真を画面で確認しながら、観察の記録を振り返る。

公開授業、参観者が見学しやすいように体育館で実施された。ICTの活用では、電子黒板と2 in 1パソコンを導入し、それらの機器をネットワークで接続している

2 in 1パソコンは、グループで1台の割り当て。4名の生徒が机を寄せてグループを作り、4人で1台を使う

画面を覗き込みながら、撮影した写真や記録したデータを確認する生徒たち。生徒どうしが意見を出し合ったりしている様子もみられ、活発なコミュニケーションが交わされていた

2 in 1パソコンには、OneNoteがインストールされており、教諭が配信したデータを表示できる仕組みだ

なお、黒板に板書された内容は普通のノートに書き、学習した内容のチェックなどは、そのノートを通じて行われる。人吉東小学校では、従来の授業スタイルにICTを無理なく採り入れ、思考力・表現力をより高めるためにICTを活用する。