――取材などメディア対応も相当数こなされたと聞きました。

そうみたいですね。自分としては実感がありませんが、過去最高みたいです。

――行定勲監督をはじめ、これまで三浦さんと関わった監督からは「真面目」と言う声を多く聞きます。番宣や取材などに取り組む姿勢もその表れなのではないかと。

よく言われますし、周りからは真面目に見られがちですね。自分としては普通だと思っているんですけど、どういうところを見てそう思われているのか……発言に面白みがないんですかね(笑)。

――シキシマを演じた長谷川博己さんも、現場で三浦さんが必死に台本を読んでいる姿を目撃し、同じように思ったみたいですよ。

長谷川さんとの共演シーンではいろいろ考えることができるなと思って……いろいろ迷っていたんだと思います。それかただただ集中していたのか……どうしようかな、どういうことなんだろうなと悩んだり……。

――行定監督の『真夜中の五分前』では、役柄以上に中国語がうまくなりすぎたそうですね。「真面目」な一面はそういうところだと思います。

ちょっとでもうまくなっていれば、そこから下手にすることはできます。でも、それ以上のうまさを求められることはさらに難しい。だから、とりあえずうまくなっておこうと思ってしまうんです。

――『進撃の巨人』の撮影で、そのように備えたことは?

しっかりと体を作り込んで現場に入りたかったんですが、ドラマの撮影が終わってすぐのインだったので、正直なところ満足なトレーニングができない状態でした。軍艦島や熊本など地方の撮影からはじまったので、撮影の合間にトレーニングしていました。

――本作でメガホンを取った樋口真嗣監督は配役を決める前、身体能力を確かめるために三浦さんが出演した劇団☆新感線の舞台『ZIPANG PUNK~五右衛門ロック III』を観に行ったそうです。打ち上げで話したそうですが、会話の内容は覚えていますか。

覚えてないです。「よかったよ」とか「体キレてるね」ぐらいで。『進撃の巨人』の話は全くありませんでした。樋口監督がなぜその場にいるんだろうって不思議に思っていました。振り返ると、監督は違和感なく溶け込んでいたなぁ(笑)。あの舞台に出てなかったら、『進撃の巨人』にも出てなかったかもしれませんね。

――公開初日の公式ツイッター「素敵な経験、そして辛い経験もさせて頂いた」とありましたが、どのような思いのメッセージだったのでしょうか。

内緒です(笑)。

――そこをなんとか(笑)。

すてきな時間というのは、本当に経験できないようなことをいろいろ経験させてもらったことでもありますし、経験できないからこそ大変だな感じたこともたくさんありました。ワイヤーアクション、グリーンバックでの撮影、足場が悪い軍艦島の撮影……あとは大きなプレッシャーを感じていたことも事実だと思います。そういうこともひっくるめて、「すてきな時間」でもありましたし、「つらい時間」でもありました。言葉にできないこともいっぱいあります。今では「経験させてくれてありがとう」、そんな気持ちです。

――過酷な撮影を乗り越えたからこそ、見えた景色だったわけですね。

3カ月間、セットに入ってのグリーンバックの撮影だったので、見えないものとの演技が大半でした。いくら監督に「OK!」「よかったよ!」と褒められても、それが続いていくと、本当に自分の演技、アクション、反応が完成した映像とマッチするんだろうかと。そういう不安がずっとつきまとっていました。OKを出されても、自分の中で納得できる演技かどうかの計算ができない。そんな状況でした。

今だから言える話ですけど、やっていて「はたからはどう見えるんだろう」とか。疑心暗鬼になってしまう時もありました。でも、完成していたのものを観て、スタッフのみなさんが頑張ってくださったおかげで『進撃の巨人』の世界で生きさせてもらえている感じがして、本当にホッとしました。

――昨年の8月19日がクランクアップだったそうですが、撮影を終えたその日は何をしましたか? 覚えていますか。

(しばらく考えこんで)すぐに家に帰ったと思います。あまり覚えていませんが、一仕事終えたというか、解放された感じでした(笑)。

その後に前編、少し遅れて後編の試写があって…後編にはビックリさせられました。一番最後の最後に台本にはないことが盛り込まれていたので、それには驚きました。

何も聞いていなかったですし、まさか撮っているとは思ってなかったので、僕の中ではどんでん返しでした(笑)。皆さんにどう思っていただけるか分かりませんが、そこも見どころの1つだと思います。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

■プロフィール
三浦春馬
1990年4月5日生まれ。茨城県出身。2006年公開の『キャッチ ア ウェーブ』で映画初主演。『恋空』(07年)で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞、『永遠の0』(13年)で第38回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。そのほか、『奈緒子』(08年)、『クローズZEROII』(09年)、『ごくせん THE MOVIE』(09年)、『君に届け』(10年)、『東京公園』(11年)、『真夜中の五分前』(14年)などに出演。