老齢年金は原則25年以上の加入期間がないと受給できないというのが今の制度です。

厚生年金をやめて自営になったときに国民年金への切り替えをせずにずっと未納になってしまったというようなケースが多いのですが、25年の期間に足りない方が世の中にはかなりいらっしゃいます。

そういう無年金の方を救済しようと25年の加入期間を10年に短縮することが決まっていますが、それは財源として消費税を使うので消費税10%が条件になっています(この加入期間10年で受給できる老齢年金を俗に10年年金と呼んでいます)。

当初、消費税は今年の10月から10%になることになっていました。消費税増税は一般には嬉しくないことですが、10年以上25年未満の年金加入期間の方は待ちわびていらっしゃることでしょう。


10年前までの後納は今月まで


今年の10月を意識して国民年金保険料の後納制度が時限の制度として3年前から始まっていました。保険料は2年を過ぎると時効で払えなくなってしまうのですが、この期間は10年前まで遡って払えるようになっていました。この制度は今後も存続することに決まりましたが、10月からは5年前までになります。ですから平成22年9月分までの分は今年の9月(今月です)末までしか払えません

年金事務所にまだ受給できていない方がいらっしゃった場合、まずお名前で検索して宙に浮いている記録でその方のものがないかを探します。それから年金額には結びつかないけれど期間として扱うことができる合算対象期間(カラ期間)に該当するものがないかを検討します。

合算対象期間にはさまざまなものがあり、最も多いのが昭和61年3月までの期間で配偶者が厚生年金・共済年金に加入していて本人が国民年金に任意加入しなかった期間です。つまりその期間にご主人がサラリーマンで本人が専業主婦だったような場合です。

他には、平成3年3月までの20歳以上で学生だった期間、海外に住んでいた期間、議員だった期間などもありますが、あまり該当する方はいらっしゃいません。

生活保護を受けていた期間は合算対象期間ではなく、保険料免除期間になるので、それも確認します。

それで現在の月数を出し、後納制度を使って払える期間を考えます。


具体的な例で解説


具体的に例を挙げてみます。

昭和24年12月生まれの女性A子さん、どうせ年金はもらえないと思って調べてみたこともなかったそうですが、結婚前に7、8年勤めていたことがあるとのことです。

検索すると2つの厚生年金の番号で旧姓のA子さんのお名前と生年月日に合致するものがありました。その中の3社ともA子さんが会社名を覚えていらしたので本人のものと確認できました。

その2つを統合して1つにして、まだ基礎年金番号をお持ちでなかったので、基礎年金番号に登録しました。3社分で90月でした。その後、結婚後も一度も国民年金の手続をしたことはありませんでした。

A子さんのご主人が会社勤めをしていたのは結婚前だけでA子さんにはサラリーマンの妻に該当する期間はなく、学生だった期間、海外在住期間もなく、合算対象期間はありませんでした。

10年年金の制度が始まると思われる平成29年4月に年金を受給できるようにするにはあと30月分何とかして納付しなければなりません。65歳以上で受給資格期間に足りない人が70歳まで加入できる高齢任意加入をする方法もありますが、それだと平成29年4月までにはまだ120月になっていません。

後納制度で遡って払える期間は60歳前までの分なので、A子さん(平成21年に60歳)の場合、今月しかチャンスがありません。後納すれば10年になる場合は納付をお勧めします。特にA子さんのように今しか払えない期間に未納がある場合はすぐに年金事務所にご相談されるといいと思います

後納した方がいいかはケースバイケースです。25年(300月)になりそうなら10年年金を待たずにすぐに受給できるので後納をお勧めしますが、10年(120月)は超えているけれど後納しても25年にならない場合、払えば10年年金が実現したときに受給できる年金額は増えますが、支払う保険料も安くはないので本人に決めて頂きます。

消費税は景気条項がなくなったので増税されるのでしょうが、何ごとにも絶対はなく、10年年金を待っている方には不安な年月が続くことになります。(執筆者:高橋 良子)