液晶テレビへの取り組み、そして4Kにフォーカス

「テレビのシェアが低いというデータだけでは、なにも解決策が打ち出せない。インチごとや価格ごと、機能ごとといった切り口から、どこでシェアが取れるのか、どこが取れていないのか、どの店ならばシェアを取れるのか、そこで勝ち目があるのかといったことを、切り刻むように掘り下げて、分析していった」。その上でビジネスプランを立てるのが、ソニーヨーロッパの手法であるという。

ソニーヨーロッパではこうした考え方をもとに、インチ別、価格別、モデルごとのターゲットシェア、ディーラーごとのランキング情報をもとにして、事業計画を策定するための共通テンプレートを用意。これを活用して、実行を進めていったことが、欧州におけるソニーの液晶テレビ事業の成長につながっているそうだ。

また、ある販売店の現場においては、マルチブランドの売り場と、ソニーブランドの売り場が反対側にあり、ソニーを狙って買いにきた人しか売り場に訪れない状況が生まれていた。しかも、マルチブランドの売り場にはソニーブランドの製品が展示されていなかったという。これではソニーのシェアが高まらない。

「売るために当たり前の事ができていなかった」と、玉川プレジデントは振り返る。そして、こう語る。「ソニーには強い商品がある。正しい商品を、正しい価格で、正しい店で、正しい場所において、正しいコンディションで売れば、負けることはない」。

欧州のテレビ・カメラ市場におけるソニーのシェア

ソニーヨーロッパでは販売現場の問題点を改善するために、「Genba Project」を開始。790店舗を対象にマーケットシェアの現状、取り扱い製品の見直し、プロモーターによるデモストレーションの実態などを再調査。店頭に置ける販売力を強化する地盤づくりに挑んだ。これらの活動を通じた売り場改善も功を奏して、2014年はテレビの売上高が前年比33%も増加したという。

そして今後は「大型プレミアム4Kテレビ」に焦点を当てたビジネスを推進する。「大型テレビは継続して伸びており、ソニーは22%のシェアを持っている。しかも、まだ伸ばせる余地があると考えている。4Kテレビは、昨年までは10機種だったが、これを29機種に拡大してシェアを伸ばしていく。さらに、広告投資も積極化させていく」と考えを示す。

欧州のテレビ・カメラ市場成長率