東京都・表参道の根津美術館は、同美術館コレクションの礎を築いた初代根津嘉一郎の蒐集の軌跡をたどる「根津青山(せいざん)の至宝 -初代根津嘉一郎コレクションの軌跡-」を開催する。会期は9月19日~11月3日(月曜・10月13日休館、ただし9月21日・10月12日・11月2日は開館)。開館時間は10:00~17:00。入館料は一般1,200円、学生1,000円、中学生以下無料。

重要文化財「花白河蒔絵硯箱」1合 日本・室町時代 15世紀 根津美術館蔵

重要文化財「加賀光悦茶碗」本阿弥光悦作 1口 日本・江戸時代 17世紀 相国寺蔵(展示期間:9月25日~11月3日)

同展は、国宝7件、重要文化財87件を擁する約7400件の同美術館コレクションから、初代嘉一郎の蒐集の軌跡をたどり、特に書画と茶道具の名品を展示するもの。同美術館は、明治から昭和にかけて多くの優れた古美術品を集めた初代嘉一郎と、その遺志に従い美術館を創設し戦火を超えてコレクションを守り伝えた二代嘉一郎、二人の「嘉一郎」によってつくられた美術館である。実業家であった初代根津嘉一郎は、明治39年に行われた入札会で「花白河蒔絵硯箱」を破格の値段で落札し、蒐集家としても著名になった。明治42年、米国視察実業団に参加した際、公共の利益のために惜しみなく寄付を行う米国の文化に感銘を受け、また、古美術品が日本で顧みられず欧米に売られている状況を知ってこれを憂い、以後一層蒐集に励みコレクション公開の意志を強めていったという。昭和15年に急逝した初代の遺志を継ぎ、二代嘉一郎は同年根津美術館を設立、翌昭和16年に根津邸で、絵画、墨跡、古筆、彫刻、茶道具など約60件で初の美術展を行ったということだ。

国宝「布袋蔣摩訶問答図」
因陀羅筆・楚石梵琦賛 1幅
中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵

国宝「鶉図」伝 李安忠筆 1幅
中国・南宋時代 12-13世紀
根津美術館蔵

また、関連企画として、根津美術館顧問・西田宏子氏による講演会「根津嘉一郎 ―コレクターから茶人へ―」(9月26日14:00~15:30)、山梨大学名誉教授・齋藤康彦氏による講演会「根津青山の茶友たち」(10月24日14:00~15:30)が開催される。参加に際しては事前申込が必要となる。詳細は同美術館Webページにて。そのほか、スライドレクチャー「古経同好会」が10月2日、「永久訣別の茶会」が10月16日の13:30~14:15に開催される。また、ギャラリートークが9月25日、10月23日、10月30日の11:00~11:40に開催される。いずれも、聴講は無料だが入館料が別途必要となるとのこと。

なお、特別催事として、茶席「初代根津嘉一郎の茶席 ―大津馬図披露茶会にちなんで―」(10月15日開催) が開催される予定となっている。参加券は同美術館受付で販売中。詳細は同美術館Webページにて。