メルセデス・ベンツ日本は8月27日、同社のSクラスとして、日本初のクリーンディーゼルハイブリッドモデルとなる「S 300 h」を追加し、即日、全国の正規販売店での発売を開始したと発表した。

Sクラスは同社のフラッグシップモデルで、S 300 hはクリーンディーゼルエンジンに高効率電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用することで、最新世代のV8エンジンと同等のトルクを実現しつつ、高い静粛性や燃費性能を実現したという。

「S 300 h」のエンジン部とモータ部の説明

パワートレインの詳細としては、最高出力204PS/150kW、最大トルク500Nmの2.2リッター直列4気筒BlueTECエンジンに、最高出力27PS/20kW、最大トルク250Nmの高効率電気モーターを組み合わせている。発進時に電気モーターを使用するため、アクセルを踏んだ瞬間からモーターの最大トルク250Nmでの加速が可能なほか、エンジンが停止しているため、高い静粛性を実現する(ディーゼルエンジンは強い加速の際に起動)。

また、燃費向上技術として、中・高速巡航時にアクセルペダルから足を離すと、トランスミッションのクラッチを切り、エンジンをドライブトレインから切り離すことで、走行抵抗を低減させる「セーリング機能」を搭載。このほかの燃費向上技術も含め、燃費は20.7km/L(JC08モード)としているが、同社が実際にモータージャーナリストである石井昌道氏をドライバーとして実施した、鹿児島県の最南端に位置する佐多岬から、東京・六本木のメルセデス・ベンツ・コネクションまでの1540kmを走破する「ディーゼルハイブリッド 1,540kmチャレンジ」では、平均速度71km/h(走行時間21時間46分)で、平均燃費は25.6km/L、残燃費15%(JC08モード換算で約270kmの走行が可能。燃料タンクの総量は70L)という結果を得ているという。

さらにインテリジェンスとして、最大500mの範囲をモニタするほか、車両前方約50mの範囲を立体的に捉えることが可能なフロントウインドウ内側のステレオマルチパーパスカメラのほか、ミリ波レーダセンサとして、フロントおよびリアバンパー側面に25GHzの短距離レーダを4個、ラジエータグリル奥に77GHzの中・長距離レーダを1個、そしてリアバンパー中央に25GHzマルチモードレーダを1個搭載しており、アルゴリズム解析を行うことで、先行車両、横切る車両、後方車両、対向車、歩行者などを検出し、状況をリアルタイムで判断し、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動でアシストする「部分自動運転」を実現している。

多数のレーダとカメラ群を搭載することで、部分自動運転を実現した

このほか、レーダセンサにより先行者を認識し、設定速度の範囲内で車間距離を適切に維持して追従したり、先行車が停止した場合は減速して停止する渋滞追従機能を備えた「ディストロニック・プラス」や、ドアミラーの死角範囲をレーダによってモニタにして危険性を警告する「アクティブブラインドスポットアシスト」、ドライバーの疲労や不注意による車両の逸脱をステアリングを微振動させてドライバーへ警告する「アクティブレーンキーピングアシスト」などを含む安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」も標準装備されている。

なお価格は998万円から、となっている。また、S 300 hの発売に合わせて、「S 400 HYBRID」のモデル名称が「S 400 h」に、「S 400 HYBRID Exclusive」が「S 400 h Exclusive」に、「S 550 PLUG-IN HYBRID long」が「S 550 e long」へとそれぞれ変更されている。

クリーンディーゼルハイブリッドモデルとなる「S 300 h」。写真に写っている男性はメルセデス・ベンツ 日本の代表取締役社長兼CEOを務める上野金太郎氏。同氏は会見の席にて、「今年はメルセデス・ベンツとしてのエンジン革命の年と位置付けており、そろそろ、Cクラスに4気筒のクリーンディーゼルとプラグインハイブリッドを導入することを始めようかと検討している」と、Sクラスだけでなく、Cクラスについても言及するコメントをしていた。最下段右下の2車種はモデル名称が変更された「S 400 h Exclusive」と「S 550 e long」。最下段中央のバッグ類はMercedes-Benz Collectionの先行展示品