ルックアウト・ジャパンは8月20日、国内のスマートフォン所有者を対象にしたモバイルプライバシーIQのアンケート調査を実施し、その結果を発表した。

モバイルプライバシーIQとは、スマートフォン使用時における安全なプライバシー保護に関する個人の知識レベルのこと。調査は2015年初めに米国で行ったものと同様で、プライバシーに対する考え方やモバイル端末における個人情報に対する認識や取り組み、感じ方などを検証している。

調査の中で、「自分のモバイルプライバシーIQは平均以上である」と評価している人は、スマートフォン所有者のわずか3%であった。3%の所有者は、他のユーザーよりも公共Wi-Fiやオープンネットワークに接続したり、非公式マーケットプレイスからモバイルアプリをダウンロードしたりなどの危険な行為を取る可能性が高いことがわかった。

同社は、これらの結果を「モバイルセキュリティ対策おいては全般的に意識が欠如している」と指摘している。

米国との調査と比較すると、プライバシー保護に関する専門的知識があると自己評価する米国人は、日本人よりも多い。米国人の41%が、自身のモバイルプライバシーIQは平均以上もしくは高レベルにあると回答している(日本人の割合は15%)。

一方、専門知識があると自己評価する米国人の多くが、あらゆる種類の危険な行為を行う傾向にあることがわかった。国内のスマートフォン所有者はモバイルセキュリティに関して完璧とは言えないが、それでも米国の所有者に比べればずっと安全と言える。

男女間の比較では、平均以上のモバイルプライバシーIQがあると考える日本人男性の割合は女性よりも多かった。一方で、パーミッションを読まずにアプリのダウンロードを行ったり、公共の充電スポットに接続するなどの危険を冒すのは男性の方が多い傾向にある。プライバシーについて十分な知識があると思っている人ほど危険を冒す傾向があることが分かる。

日本人は個人情報の取り扱いについて比較的安全と感じており、一方で、便利な機能と引き換えに個人情報を提出することには抵抗がある傾向があることがわかった。

ほかにも、消費者は自分が勤務している企業の機密データの保護よりも、個人情報の保護に対する懸念が高く、情報漏えいが発生しないよう最も気をつけるべきデータは企業の機密データであると答えた人は、わずか3%に過ぎなかった。

さらに、BYODや社用端末においても、安全が確保されないWi-Fiへの接続や公共の充電ステーションの使用など、危険な類の行為が行われているという。

同社は、今回の調査からプライバシー問題に関する意識と、プライバシー保護のために行っている実際の行動の間にギャップがあることが浮き彫りになったとの見解を示す。つまり、多くの人がプライバシー保護の方法を理解していると言いながら、知らず知らずのうちに自身や勤務先を危険にさらしかねない行為に関わっている可能性がある。

日本の消費者においては、プライバシー保護のための最も簡単な対策さえ行わない人々の割合は依然として非常に高いのが現状で、モバイル端末に集約された個人データはサイバー犯罪者の格好の標的とルックアウトは指摘。あらゆる端末においてプライバシー保護の必要性が今後もさらに重要になるととした。

また、個人情報が悪者の手に渡らないようにするためにはPINやパスコードの設定が重要で、公衆Wi-Fiでは、メールやSNSは利用を控えるべきと指摘。公衆Wi-Fiのネットワークにセキュリティが施されていることは皆無に等しく、利用者のネットの利用状況がハッカーによって比較的簡単に覗き見できてしまうためだという。

今回の調査では、国内のスマートフォン所有者の51%はオープンネットワークを利用しないとあるが、利用する際はサイトの閲覧だけに留めるのが懸命としている。ほかにも、スマートフォンの閲覧履歴や検索履歴を定期的に消去することも、プライバシーを保護には重要と指摘している。