ベルギーの独立系半導体研究機関imecは8月12日(現地時間)、次世代の高効率・小型電力変換を可能にする200mmシリコン基板上のGaN(GaN-on-Si)エピタキシャル成長技術およびエンハンスメント型デバイス(図1)の研究開発を強化すると発表した。同時に、同社の200mmクリーンルーム棟(図2)に設置された研究・試作ラインでファブレス企業からのGaNデバイスの少量受託生産も始める。

imecではすでにGaNエピタキシャル成長技術やCMOSコンパチブルGaNプロセス技術を開発しており、産業提携プログラム(imec Industrial Affiliation Program:IIAP)を通してメンバー企業に技術供与を始めている。今後は、基板の高品質化、デバイスの高性能化と高信頼化、デバイス構造革新(主流の横型に対して縦型化)に向けた研究開発に取り組む。

降伏電圧などの電気特性を最適化するため、imecでは3種類のバッファ層(AlGaN/超格子/低温AlN)を採用している。同社はMIS HEMTやp-GaN HEMTなどのエンハンスメント型パワーデバイス、リーク電流やタ―ンオン電圧の低いショットキ―パワーダイオードなども製作している。同社のエンハンス型パワーデバイスのしきい値電圧は+2V超、オン抵抗は10Ω未満、出力電流は450mA/mm超。

imecのスマートシステム担当EVP(Executive Vice President)のRudi Cartuyvels氏は、「GaNパワーデバイス開発プログラムを2009年7月に初めて以来、IDM、エピベンダ、装置・材料メーカーの協力を得てここまで来ることができた。imecではオープン・イノベ-ションをさらに徹底し、参加企業と協業して、GaNデバイスの性能向上研究をスピードアップしたい」と述べている。

図1 imecで開発された200mm GaN-on-Siパワーデバイス (出所:imec)

図2 GaN試作ラインがあるimecの200mmクリーンルーム棟(手前)。奥に300mm棟およびimecタワー(本部居室棟)が見える (出所:imec)