神戸市消防局の新たな防災広報の啓蒙アイテムとして、そして、G-SHOCK初となる消防機関とのコラボレーションモデルとしても話題の『G-SHOCK RANGEMAN「GW-9400FBJ」神戸市消防局タイアップモデル』(ベースモデルはMASTER OF GのRANGEMAN「GW-9400」)。今回、その要である神戸市消防局を訪問。緊急時に命がけで任務に邁進するレスキュー隊の方にお話を伺った。消防救助現場における「時間」と、時計が担う重要性、そしてタイアップモデルに込められた思いとは?

レスキュー隊のオレンジの制服と、青の差し色がイメージソース。

正確な時間で行動するレスキュー隊にとって、時計は必須アイテム

「隊員を現場に進入させるときの時間管理は、必ず隊長が行うんです。だから、時計は常に身に付けていますね」

そう語るのは、神戸市消防局 北消防署 第3方面専任救助隊 消防司令補の田中幹人隊長。

神戸市消防局 北消防署 第3方面専任救助隊 消防司令補 田中幹人氏

神戸市では市内を第1方面から第5方面に分け、各方面に1隊ずつ専任救助隊を配置している。また、神戸市は山と海に囲まれた街のため、火災や事故のほか、山や水に関連する遭難事故にも対応する必要がある。そこで各方面隊では、管轄の地域特性に合わせて、山岳救助や水難救助を重視した訓練と装備の充実を図っているという。

ちなみに、消防署に設置されている「救助隊」(通称:レスキュー隊)には、必要装備の違いによって4つの区分がある(救助隊、特別救助隊、高度救助隊、特別高度救助隊)。このうち特別高度救助隊は、ハイパーレスキューやスーパーレスキューなどとも呼ばれ、聞き覚えのある人も多いだろう。神戸市には、特別高度救助隊「スーパーイーグルこうべ」が設置されている、

そんな神戸市の専任救助隊(レスキュー隊)で隊長を務める田中氏。出動時は、通常4名で行動することが多いそうだ。隊長が行動指揮を執り、隊員2名が現場に進入、ドライバーは無線通信や記録など現場でのバックアップを兼任する。

田中氏「万が一、時計を忘れたときは、必ずそれを誰かに知らせておかなければなりません。例えば隊長が時計を忘れたときには、ドライバーが代わりに時間管理をすることになっています」

重要なのは、何時何分に進入して、何時何分に退出するかの判断。それは、現場の状況や活動内容、背負っているボンベの空気残量などを考慮して決めるという。

右中央の大きなボタンはセンサーボタン。押すたびに計測モードが変化する

右上窓に気圧傾向グラフを表示

レスキュー隊が使うのはデジタル時計? アナログ時計?

田中氏「例えば、我々が平常時の呼吸で消費する空気の量は1分間に20~30リットルです。が、過酷な現場での活動では、それが80リットルくらいに増えます。標準装備のボンベでは、実質的に25分程度の活動時間が限界です。

しかし、さまざまなトラブルの危険性と、各隊員のコンディション、ストレスなども考慮し、可能な範囲で余裕を持たせた救助活動時間を設定する必要があります。それをバックアップに伝えます」

そんなとき、デジタル時計は便利だと田中隊長はいう。

メインの窓に現在の高度、右上の小窓に高度の推移を表示

田中氏「何時何分、進入、と読み上げる時刻が、そのまま数字で表示されますから。一刻を争う中ではミスが許されないので、針の細かな位置をよく見ている時間はないですし、1分読み間違えると取り返しのつかないことにもなりかねません。

ただ、アナログ針の方が、時間を量として把握しやすいんですよね。退出設定時刻の20時25分まであと7分、といった引き算がしやすい。デジタルとアナログ、どちらもメリットはありますね。

デジタル時計にはもうひとつ、大きなメリットがあるんです。それは、暗い場所で見やすいこと。山中、火災現場、交通事故現場など、我々はどうしても暗い場所で活動することが多いので、バックライトやLEDが付いたデジタル時計の方が時間が見やすいんです。これは重要ですね」

ちなみに、今回の神戸市消防局タイアップモデルではLED点灯時、登山や救助に使用する「カラビナ」と、救助の命綱にも使用する結索「もやい結び」のイメージが「KOBE CITY FIRE BUREAU」の文字とともに、液晶スクリーンに投影される。

LED点灯時にはカラビナともやい結びがバックに浮かぶ

そもそも、神戸市消防局タイアップモデルのベースとなった「GW-9400」RANGEMAN(レンジマン)は、レンジャー部隊での使用をイメージした機能とタフネスを実装したG-SHOCKだ。製品化の過程では、実際にレンジャー部隊として活動する方々からの意見聞き取りも行われた。

GW-9400は、性能向上と圧倒的な省電力化、省スペース化を両立したトリプルセンサーVer.3を採用している。方位、高度、気圧、温度の計測機能が利用でき、時間の正確さを担保する電波時計機能を搭載。また、消防士やレスキュー隊の方々が着用する厚手の手袋でも操作できる、滑り止め処理が施された大型ボタンや工夫された操作性を実装している。

方位計測モード。写真では東北東(70度)の方角を指している

気圧計測モード

特製ボックスと缶ケースはヘルメットがモチーフ。デザイン案を持ち込んだ際、神戸市消防局で絶賛され、即採用となったという