弥生は、同社の主力製品である「弥生会計」のクラウド版「弥生会計 オンライン」を、7月7日より提供開始した。利用料はセルフプランが年間26,000円(税別)。

また、セルフプランとは別に、電話/メールサポートや業務相談サービス(仕訳相談/経理業務相談等)も利用できる「ベーシックプラン」もあり、こちらは年間30,000円(税別)。

弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏

同社ではすでに、「青色申告オンライン」「白色申告オンライン」を提供しており、「弥生会計 オンライン」は、同社にとって3番目のクラウド製品となる。

同社は、7年前からクラウド化戦略を開始しており、代表取締役社長 岡本浩一郎氏はその進捗を「想定より時間がかかっているが着実に前進している」と評価した。

弥生では、デスクトップ版のパッケージとクラウドサービスでは機能を分け、ユーザーに2通りのアプローチでメリットを提供している。クラウド版は、これまで業務ソフトを利用していないユーザーをターゲットにした潜在市場を狙っている。

デスクトップ向けのパッケージとクラウドサービスの2通りのアプローチ

2014年提供開始の「青色申告オンライン」と、2014年10月提供開始の「白色申告オンライン」の2つを合わせたユーザーは現在5万人弱で、このうち16、000人が実際に確定申告書類を作成しているという。岡本氏は「このユーザーに対しては価値を提供できており、一定の成果を得ている」と述べた。

ただ、楽天リサーチの調査によれば、アンケート対象の会計ソフト利用者4,135人のうち、クラウドサービスの利用者は7%で、岡本氏は「クラウドアプリの利用者はまだまだ少なく、先は長い」と分析する。

「弥生会計 オンライン」は、会計ソフトの利用が少ない個人事業主を含む小規模法人向けの製品だ。岡本氏によれば、こうした小規模法人の8割が会計処理を会計事務所に委託しているため、まずはこういったユーザーの取り込みを狙う。コンセプトはもっともっと"かんたん、やさしい" だ。また、日々データを入力することにより、リアルタイムで業績が把握でき、タイムリーな経営判断が可能になる点もメリットとして訴求するという。

明細入力の「かんたん取引入力」

タイムリーな経営判断が可能になるレポート機能

"かんたん、やさしい"を具現化した機能としては、「スマート取引取込」と「OCR取込(スマート取引取込)」がある。

スマート取引取込は、「青色申告オンライン」や「白色申告オンライン」でも提供している機能で、「YAYOI SMART CONNECT」により銀行明細やクレジットカードなどの取引データを自動取込、自動仕訳するもの。今回は新たに法人の銀行口座にも対応。当初はCSVデータのインポートから開始し、2015年10月より自動取込に対応する予定だ。

スマート取引取込

また、スマート取引取込では、交通費などの複数明細がある場合、それらを1つの仕訳データとしてまとめる機能も10月から提供される。

まとめ仕訳

OCR取込(スマート取引取込)は、電子帳簿保存法(e-文書法)の改正にともない、スキャナで取り込んだ領収書の利用が拡大されることを踏まえた強化で、2015年12月より、スキャナーで読み取った証憑類から、OCR処理で取引データを生成し、さらに取引データを仕訳データに自動変換する機能を提供する。

OCR取込

また、小規模法人の会計事務所への委託が多いことを踏まえ、デスクトップ版「弥生会計」との双方向データ連携(来年3月)も開始。これにより、顧問先の「弥生会計 オンライン」入力データを、会計事務所のデスクトップ版の弥生会計へのスムーズなデータ移行をサポート、会計事務所の業務軽減を図る。

「弥生会計」との双方向データ連携

今回弥生では、「弥生会計 オンライン」の普及促進を図るため、最大2か月無料で使える「無料体験プラン」を提供するほか、「起業家応援キャンペーン」と「弥生PAP紹介キャンペーン」の2つのキャンペーンを開始する。

「起業家応援キャンペーン」では、2015年1月1日以降に登記された新設法人を対象に、「弥生会計 オンライン」が一年間無料で利用できるもので、「弥生PAP紹介キャンペーン」は、弥生PAP会員の顧問先企業が「弥生会計 オンライン」を一年間無料で利用できるもの。弥生PAPは、弥生と弥生製品・サービスを推奨する会計事務所がパートナーシップを組み、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムだ。

同社では今後も「弥生会計 オンライン」の機能を強化する予定で、2015年8月から消費税集計表、10月には決算書作成機能を提供する予定だ。

今後の機能強化