JR東海は6月25日、駆動システムの小型軽量化と省エネルギー性向上のため、パワー半導体素子に次世代半導体である炭化ケイ素(SiC)を採用した新幹線車両用駆動システムを開発し、実用化のめどが立ったので、東海道新幹線への導入を検討すると発表した。

新システムの開発は、東芝、日立製作所、富士電機、三菱電機と共同で行われた。3.3kVの高耐圧SiCデバイスを適用した新幹線用主変換装置を、東海道N700系新幹線車両へ搭載し、東京~新大阪間での走行試験を開始したという。

主変換装置(コンバータ・インバータ)は、電車を走行させるモーターを駆動するための装置で、架線から主変圧器を介して取り込んだ交流電圧を直流電圧に変換するコンバーターと、直流電圧を走行用のモーターの駆動に必要な交流電圧に変換するインバーターで構成されている。

SiCは発熱が少なく、冷却機構を簡素化できるため、同社の走行風冷却の技術と組み合わせることで大幅な軽量化を実現しているほか、損失の低減により、モーターの小型軽量化が可能になっている。

新幹線車両用駆動システム 資料:JR東海

新システムの導入効果としては、N700系の駆動システムと比べ、約20%(1編成当たり10トン程度)の軽量化と小型化が実現されるため、車両の機器配置の制約が緩和されるなど、設計の自由度が向上する。また、低損失な素子を使用するため、より省エネルギーな駆動が可能になる。

SiC素子採用による効果 資料:JR東海