春はお花見、秋は落ち葉拾いができそう。すてきな場所だなあ……と思っていたら、なんと、そこはある会社の本社だった。
野菜たっぷりのヘルシーランチ
ヘルスメーター、レシピ本、社員食堂……と言えば思い浮かべる、あの企業! そう、ここは、低カロリーの食堂やレシピでも名を轟かせた健康総合企業のタニタのオフィスだ。
オレンジを基調にしたアットホームな社員食堂に我々を迎えてくださったのは、ブランディング推進室の横田洋子さん。ご自身もよくこの食堂で、ランチを食べておられるとか。
――ここが噂の「500kcalのまんぷく定食」で有名な社員食堂ですね
横田さん「タニタの社員食堂はカロリーが控えめなだけでなく、塩分も3g前後におさえた献立になっているんです。外食するとどうしても塩分やカロリーが高くなりがちですよね。社員の健康を守るため、カロリーも塩分も控え目にするように管理栄養士やスタッフががんばって調理してます」
――ヘルシー社食を作ったきっかけは?
横田さん「以前、タニタでは本社内にあった会員制の減量指導施設『ベストウエイトセンターで会員向けに食事を提供していた厨房施設やレシピなどを有効活用して社員食堂としてオープン。カロリー重視ではなく徐々に味のブラッシュアップがされました。午前の仕事を終えた後のランチは、社員にとっては大切な憩いの時間ですから」
――野菜たっぷり感が伝わるメニューですね
横田さん「一食平均で200gの野菜が入っています。野菜は1日350g以上食べるのが理想とされていますから、昼食で半分以上摂取できるんです。通常のメニューは主菜、副菜2品、ご飯、汁物の一汁三菜ですが、丼物や麺類の日もあります」
大人だって『食育』が必要
社食の食事は、油の量に至るまで食材の分量を計量して調理されている。必要な食数を確保し、ロスを最小限に抑えるためにも、社員食堂の利用は完全予約制となっている。
取材にうかがった日のメニューはうどんに副菜がふたつ。野菜がたっぷり入っているのがが一目瞭然だ。
横田さんに勧めていただき、試しに一口。
味は薄味で、塩分が少ないということがはっきりと伝わって来る。とは言え、薄味料理にありがちな「物足りなさ」は全然なく、とても美味しい。塩分は控え目ながら、鰹と昆布でしっかりと取られた出汁の風味が味覚と嗅覚に広がり、野菜自体の味や旨味もしっかり感じられる。
――カロリー控えめなのに、すごく食べごたえがあります
横田さん「塩分や油が少なくても、美味しく食べれるよう調理されています。出汁やスパイス、酸味、それに自然な甘味を生かしたり、野菜を大きめに切ったり。あとは、歯ごたえを残して、固めに茹で、咀嚼出来るよう工夫されています」
――なんだか、良く噛んでしまうお料理ですね
「食べてから、満腹中枢に信号が届くまで約20分かかると言われています。ですから早食いは過食や肥満の元。しっかり咀嚼して、ゆっくり食べ、カロリー控えめでも満腹感が得られるよう、野菜を大きめにカットして食感を残して調理しているんです。時間がかかるため、急いでる時は困っちゃいますけどね(笑)」
――食事に対する考えが変わりそうです
横田さん「外食で塩分を控えるようになったり、社員が家庭で調理法を工夫するようになったりと、食事に対する考えが変化したと思います。お通じが良くなった、吹き出物が減った、という女性社員もいますよ。社員食堂のメニューやそのレシピが『大人の食育』に繋がってくれればと願っています」