日立アプライアンスは6月18日、キャニスター型のサイクロン掃除機「パワーブーストサイクロン」の最新機種として、「パワーブーストサイクロン」の「CV-SC700」「CV-SC500」「CV-SC300」と、「2段ブーストサイクロン」の「CV-SC100」「CV-SC90」を発表した。

同日、東京都内で開催された新製品発表会では、最上位モデルに当たるCV-SC700の解説を中心に、従来機との比較デモなどが行われた。また、発表会後半には紙パック式掃除機「かるパック」の新製品「CV-PC500」と「CV-PC30」についても説明があった。

「パワーブーストサイクロン」の新製品発表会にて。左側3台がプレミアムタイプのサイクロン掃除機「CV-SC700」。右側3台がプレミアムタイプの紙パック式掃除機「CV-PC500」

掃除機は「使い分ける」時代に

国内掃除機の需要動向について語る、日立アプライアンス取締役 家電・環境機器事業部長の松田美智也氏

製品発表会には、日立アプライアンス 取締役 家電・環境機器事業部長の松田美智也氏が登壇し、製品開発の背景について説明した。日立アプライアンスの調査によると、調査対象のうち約4割が2台以上の掃除機を所有しており、用途に合わせてキャニスター型やスティック型、ロボット掃除機などを使い分けているという。特に多いのが「普段は手軽なスティック型を使用し、週末はキャニスター型でしっかりと掃除をする」という家庭。

キャニスター型を購入し、週末にしっかり掃除をするユーザー層は、キャニスター式の掃除機にスティック型を上回る掃除性能を求める。この調査結果を踏まえて、日立アプライアンスでは「掃除性能の高さ」と「使いやすさ」を強化した掃除機を開発するに至ったという。

複数の掃除機を所有し、使い分ける世帯が増えている

目地に詰まったゴミも吸い取る

今回のモデルチェンジ最大の注目点が「ジェット吸引 スマートヘッド」の採用だ。掃除機の吸引力は、モーターが空気を吸い込む力だけでなく、床と接するヘッドの形にも左右される。ヘッドの吸引力において、特に重要なのがヘッド内の気密性だ。気密性が高いほど強力な吸引力を実現できる。

そこで、ジェット吸引 スマートヘッドでは、回転ブラシとロングローラーだけでなく、ヘッドに「サクションキーパー」と「ワイドプレート」を配置。これにより、床面との気密性を高めて、圧力を従来機比1.5倍にアップした。

ただし、床への密着度が上がると、ヘッドが床に貼り付いてしまって動かしにくくなるというデメリットも生じる。それを避けるために、ヘッド上部から空気を取り入れて床へ吹き出す「ジェット吸引機構」を開発した。モーター駆動の「パワフル自走」との相乗効果で、軽い操作性を実現する。

ジェット吸引機構は、ヘッド上部から取り入れた空気が、一度勢いよく床に衝突して吸い込まれる構造。高速風で床のゴミを浮かせるため、凹凸のある場所のゴミを効率よく吸い込めるのも特徴だ。フローリングの目地や畳の合わせ目など、深い場所に入りこんだゴミの吸引に力を発揮する。

ジェット吸引 スマートヘッドは、ヘッド内の気密性を上げて吸引力をアップする構造。また、ヘッドが床に貼りつくのを抑え、軽い操作性も確保している

「サクションキーパー」と「ワイドプレート」を配置して気密性をアップ。ヘッド上部の吸気口から空気を取り入れるジェット吸引機構を採用

発表会では、CV-SC700と従来機「CV-SA700」を使用した比較デモが実演された。0.5mmから2mmまで徐々に深くなる小さな穴に砂を入れ、深いすき間に入ったゴミを何往復で取り除けるか、というものだ。

従来機のCV-SA700は、ヘッドを1往復しただけでは深さ1.5mm以上の深い穴に入った砂を取り切れず、3往復してやっと吸い上げた。一方、新モデルのCV-SC700は1往復でほとんどのゴミを吸い取った。このほか、小麦粉をまいたカーペットや、溝に小麦粉を詰めたフローリングでの掃除デモも行われたが、いずれも従来のCV-SA700ではゴミを取り除くのに2~3往復しなくてはならず、新モデルのCV-SC700では1往復でほとんどのゴミを吸い取った。

0.5mmから2mmまでの深さの穴があけられている「穴あきボード」に入り込んだゴミを掃除する実験。左は従来の「CV-SA700」、右は新モデルの「CV-SC700」を使用

上から2列ごとに0.5mm、1mm、1.5mm、2mmの深さがある穴。従来機で掃除した方は1.5mmと2mmの深さの穴にゴミが残っているのが分かる

カーペットにまいた小麦粉を掃除する実験。従来機でカーペットを1往復しただけでは小麦粉を取り切れない。一方、新モデルでは1往復しただけで小麦粉が見えなくなった

フローリングの目地に小麦粉を擦り込み、掃除機で吸引する実験。従来機で1往復しただけだと、フローリングの溝にまだたくさんの小麦粉が残っている。新モデルで掃除すると1度通過するだけで、ほとんどの小麦粉を吸い取った