4月に入社した新人のモチベーションが下がっている…。最近そう感じたことはないだろうか? 今の時期に新人がやる気をなくしてしまうことを「6月病」と呼ぶそうだ。部下がそのような状態になった時、上司はどのような対策をするべきか。グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長の村尾佳子さんに対処法を伺った。

6月病とは?

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――そもそも「6月病」とは何なのでしょうか?

一般的に、今の時期に新人の仕事に対するモチベーションが低下していくことを指します。実態は、5月病と同じ一時的な適応障害です。「この仕事は自分に合っていないのかな…?」と本気で悩み始めることもあるようです。

――どうして6月病になってしまうのでしょうか?

新入社員はだいたいGW前ぐらいまで研修を受けます。本配属された後は、先輩社員に囲まれて常に緊張した状態で仕事の初歩を学びます。6月というのは、だんだん業務に慣れはじめ、緊張の糸が切れてしまう時期なのです。また、新人研修は和気あいあいとした仲間関係であった同期が、急にライバルに変わります。こうした環境の中で強いプレッシャーや孤独感を感じてしまうこともあります。

――6月病にかかりやすい人はどのようなタイプの人ですか?

いわゆるエリートや真面目な人、今まで成果を出してきた人です。与えられたことを問題なくこなしてきた人たちが、仕事で壁にぶつかり挫折を経験することもあるでしょう。そうした時に、プレッシャーを和らげることができないと、抱え込みがちになり、適応障害になってしまうのです。

上司がすべき対策法は?

――「新人のモチベーションが低下している?」と感じた場合、上司はどのような対応をするべきですか?

まずは新人の状態を観察することが重要です。「仕事が合わない」といっても、「職場環境や人間関係」に合わないのか、「業務そのもの」に合わないのかで問題は大きく変わります。

――職場環境に合わない場合はどうすれば良いですか?

仕事がうまくいかず、自分の居場所がないと感じてしまう「孤独感」は、モチベーションを大きく低下させます。解消法としては、話を聞いて楽にさせることがベスト。ただし、上司と部下の良好な人間関係ができていないと意味がありません。上司は部下が絶対的な安心感や信頼を抱かせることができるよう、常日頃からコミュニケーションを密に取っておく必要があります。

――人間関係についてはどうでしょうか?

新人にとって、冷静に分析できる人、「何が嫌か」「どうしてこの状況になったか」を考えられる人が周囲にいると心強いですね。例えば社員寮やクラブなどの、共通事項は持っているけど直接的な利害関係のない知り合いをもてるといいのではないでしょうか。

一方、同期はどうしてもライバル関係になってしまうので、程よい距離感を保つようにアドバイスするというのも手です。同期入社は比較対象になる存在なので、自然とプレッシャーを感じてしまいます。