東京都・渋谷区のディーゼルアートギャラリーは、2012年に逝去した写真家・深瀬昌久の写真展「救いようのないエゴイスト」を開催する。会期は8月14日まで。入場料は無料。

「烏・夢遊飛行」(1980年)(C) Masahisa Fukase Archives

本展は、日本の写真界に影響を及ぼした写真家・深瀬昌久の7年ぶりとなる写真展で、代表作はもちろん、数十年の沈黙を続けてきた貴重な未発表作品までも公開する。1974年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された写真展「New Japanese Photography」では、土門拳や東松照明、奈良原一高、森山大道らと並んで世界に紹介された深瀬昌久。彼の写真は、妻や家族、あるいはカラス、猫など、常に身近なモチーフにレンズを向けながらも、「自分とは何者か?」という問いを追い求めるものだったといい、元妻・洋子も1973年発刊のカメラ誌に寄稿した原稿の中で「彼の写した私は、まごうことない彼自身でしかなかった」と語ったという。本展タイトルは、この原稿の題名『救いようのないエゴイスト』から付けられたとのこと。

会期中は、展示作品に加え、今回が半世紀ぶりの公開となるという1963年の作品『屠』をまとめた写真集(3,780円)などを部数限定で販売するほか、展示作品からピックアップしたポストカードも4種用意される(各216円)。なお、本展キュレーターは、深瀬が遺した写真作品の普及管理活動にも携わるアートプロデューサー、トモ・コスガが務める。

「烏・夢遊飛行」(1980年)

「烏・夢遊飛行」(1980年)

「屠」(1963年)