NTTアイティは5月28日、視聴者の位置に合わせて映像を複数方向に分けて表示可能な新製品「ひかりサイネージマルチビュー」を発表した。価格はオープンプライスで、販売開始は6月1日。販売またはレンタルの2形態で提供し、同社によるハードウェア参考販売価格(稼働費、造作、コンテンツ制作費は含まず)は350万円から(税別)。年間10システムの販売を目指す。

新製品は、NTTメディアインテリジェンス研究所と東北大学が共同開発した「多指向映像表現技術」を利用し、複数の映像を1つのスクリーン上に重畳表示して映像を複数方向に分けて表示可能という特長を持つ。

多人数が同時に視聴できる広い視域があり、視聴角度によってコンテンツを変えられる。スクリーンのサイズや形状は横80×縦120cmの範囲内で指定可能であり、既存の動画や静止画などのコンテンツを利用できるという。 さらに、指向性スピーカとの組み合わせにより音声を分けた出力が可能。映像に加えて音声を含むコンテンツを放映できるため、新しい視聴体験が可能になるとしている。

ひかりサイネージマルチビューの利用イメージ

システム構成図

同社は同製品の利用シーンとして、多言語による観光案内や好みの視点でのパブリック・ビューイング、交通案内システム、博物館の映像システム、マルチアングル・フォームビデオを例示している。

多言語による観光案内では、視聴角度によってコンテンツを変えられる特性を生かし、表示する映像やテロップ、ナレーションの言語を変えることで多言語での各種案内表示が可能という。例えば、東京の名所情報を紹介する動画の日本語版と英語版、中国語版をそれぞれ各画面で紹介するといった使い方だ。

多言語による観光案内の利用イメージ

好みの視点でのパブリック・ビューイングは、例えばスポーツ観戦で視聴者が見たいエリアの映像を選択して視聴する見せ方を想定している。野球では正面の画面で通常の実況放送を表示し、一塁側画面ではホームチームの映像を、三塁側画面では対戦チームの映像を表示するといった例を挙げる。

好みの視点でのパブリック・ビューイングの利用イメージ

交通案内システムでは、利用者の導線方向に応じた行先情報の案内表示が可能。例えば、地下鉄ホームに向かう人には運行情報を、出口に向かう人には周辺の店舗情報を提供するといった利用方法だ。

交通案内システムの利用イメージ

博物館の映像システムでは、恐竜のCG動画映像と化石画像、発掘映像をそれぞれの画面で表示するといった、展示物を見る角度に応じて情報を切り替えながら観覧可能という。

博物館の映像システムの利用イメージ

マルチアングル・フォームビデオでは、例えばゴルフのスイングで、正面・横・後ろから撮影した映像を表示し、インパクトの瞬間など特定のタイミングでの姿勢チェックを行うといった、スポーツのフォームを多様な角度からチェックするトレーニングを提案している。

マルチアングル・フォームビデオの利用イメージ

同社は同製品を、6月10日から12日まで幕張メッセにて開催予定の「デジタルサイネージジャパン2015」に出展する。 また、同社のひかりサイネージOfficeでデモンストレーションを見られるとのこと。