沢口靖子、水野真紀、長澤まさみといった名優を輩出してきた「東宝シンデレラ」オーディション。東宝創立50周年記念イベントとして1984年に第1回が開催され、以降は不定期で行われている。2011年の第7回では「次世代のエンターテイメント業界を担う人物」に贈られるニュージェネレーション賞が新設された。約4万4,000人の中から弱冠10歳で同賞を受賞し、その名の通りここ最近目覚ましい活躍を見せているのが、現在14歳・中学3年生の浜辺美波だ。石川県在住。週に数回、仕事のたびに飛行機で東京と行き来している。

とりわけネットで「かわいい」「美少女」と話題になったのは、現在放送中のNHK連続テレビ小説『まれ』の第4週「さよなら桜もち」(4月20日~25日)で演じた桶作家孫娘で妹の麻美役。近年出演作が急増している姉役・恒松祐里との息の合った演技で、ストーリーの重要な役どころを担った。また、戸田恵梨香や松坂桃李といった実力派俳優が多数出演したことでも話題になった映画『エイプリルフールズ』では、小学生役という実年齢と差のある難しい役を演じ切った。

さらには「ニチレイ アセロラ」の大型広告も初めて決まるなど、来年の高校進学を前に浜辺を取り巻く環境は確実に変わりはじめている。5月25日に発売されるファースト写真集のタイトルは『瞬間』。今の貴重な一瞬を記録すべく、デビューから現在を振り返りながら、「不安だった朝ドラ」「『東宝シンデレラ』の重圧と同期の関係」「家族の存在」などについても語ってもらった。

女優の浜辺美波 撮影:荒金大介(Sketch)

――今回の朝ドラ出演が決まってから撮影まで、どのような精神状態だったのかをまずはお聞かせください。

「緊張する」「リハーサルが大変」と聞いていたので、不安でした。もちろん出演できることはうれしかったのですが、撮影が近づくにつれて不安も感じるようになりました。しかし、現場の皆さんがとても温かくて、優しく接していただいたので楽しかったです。私はおばあちゃんたちをだます役でした。2人姉妹の妹役だったので、スタッフさんからは「無邪気にだます感じで」と言われていました。

―― 一視聴者として、まんまとだまされましたよ。

うれしいです。ありがとうございます!姉役の恒松さんは、すごく話しかけてくださって高校生活などいろいろ教えてもらいました。土屋(太鳳)さんもたくさん話しかけてくださいましたし、大泉(洋)さんからは北海道のバームクーヘンをいただきました。週に1度は北海道に帰られていて、そのたびにお土産を買ってくるそうです。すごくおいしいバームクーヘンでした。大泉さんが常に盛り上げていて、現場は本当に明るかったです。

――朝ドラ出演後の反響は?

実家に帰ると、おばあちゃんの友達から言われたりします(笑)。家族は全部録画しながら観てくれています。母は……いつも心配してくれていると思います。早く起きてくれて、出掛けるときには「ちゃんと準備してる?」「忘れ物ない?」と心配してくれます。

――朝ドラの舞台は石川の能登。浜辺さんの地元も同じ石川ですが、心境としては他の撮影と変わりませんか?

セットでの撮影が東京で、家に入っていく玄関前のシーンは能登です。石川出身の私でも行ったことない場所だったので地元で撮影しているという感覚はなかったのですが、すれ違うおばあさんが話している方言にはなじみがあったので、それはちょっと安心しました。

――全然方言出ませんね。

本当ですか? 今でもたまに「あれ?」って言われます(笑)。小さい頃は、カブトムシやセミを捕まえるような女の子でした。虫取り網も自分のものを持っていたんですよ!

――そんな活発少女が、お母さんの勧めで「東宝シンデレラ」に応募。事前に相談なんかもあったんですか。

はい、お母さんが募集を見つけました。女優さんになることが将来の夢というわけではではなかったので「落ちる」前提で受けてみました。すてきなお仕事だとは思っていたんですけど、簡単になれるものじゃないと分かっていましたし……でも、長澤(まさみ)さんは大好きでした。

――それまで抱いていた夢は?

歯医者さんになりたかったです。何度か歯医者さんに行っていたんですが、「なりたい」と言ったらお母さんもおばあちゃんも「良い子を持ったわ」とたくさん褒めてくれたのを覚えています。