TISと日本オラクルは5月19日、ヤフー(Yahoo! JAPAN)の財務会計システムとして、「Oracle E-Business Suite」が8カ月で稼働を開始したと発表した。

「Oracle E-Business Suite」導入後のシステム構成

ヤフーでは、国内ベンダーのERPパッケージを2005年に導入し、決算業務および債務管理に利用していた。しかし、事業規模の拡大に伴い売上が導入当時の3倍に成長したことで、旧システムでの処理が間に合わないなどの不具合が生じていた。

そこで、ヤフーは2013年に新たなERPパッケージ導入を決定し、10社以上の候補の中から、TISがERP刷新プロジェクトのパートナーに選定された。数カ月の間隔で業務・組織が大きく変貌する同社のスピード経営に対して高い適性があるという点で、、「Oracle E-Business Suite」が採用された。同製品は、データソースの構造が公開されているため、業務に合わせて柔軟なカスタマイズが行え、モジュール追加により適応業務範囲を拡張できる柔軟さなども高く評価された。

プロジェクトでは、日本オラクルの技術支援の下、TISがすべてのプロジェクトマネジメントを行った。

新ERPへの刷新プロジェクトは、旧システムと同じく「財務会計(GL)」「債務管理(AP)」に機能を絞り、2015年2月の四半期決算報告での新システムの活用を目指し、2014年2月に導入作業が開始された。

新システムの導入にあたっては、約15の既存システムとの連携が必要であり、TISが「Oracle E-Business Suite」向けに独自開発したツール「TIS自動仕訳エンジン」の活用が効果を発揮したという。

その結果、2014年9月には8カ月間の導入フェーズが終了し、翌10月から新システムは稼働を開始。当初の予定とおり、2015年2月に開示した四半期決算報告では、「Oracle E-Business Suite」で処理したIFRS対応の決算情報が用いられた。

新システムでは、データ集計のバッチ処理が約半分に短縮されるなど、処理速度の改善を実現すると同時に、決算業務がシンプルになり作業手順がより厳密になることで、内部統制の強化にもつながっている。