AMDは、米国時間の5月6日、ニューヨークの新興企業向け証券取引所NASDAQにおいて投資家向け会議「2015 Financial Analyst Day」を開催し、今後の経営戦略を説明するとともに、製品ロードマップの大幅なアップデートを行なった。
経営戦略の転換
AMDは、2012年に経営陣を一新し、堅実なビジネスモデルを確立すべく、PlayStation 4やXBOX 360で採用されたカスタムSoCなど、非PC分野の比率を高めており、2012年時点で10%前後だった組み込み市場やゲームコンソール向けSoCなどの新事業が、2014年には40%を超えるまでに成長した。そして、このビジネス戦略の陣頭指揮を執っていたリサ・スー(Lisa Su)氏が、昨年末に社長兼最高経営責任者(CEO:Chief Executive Officer)に就任。3年ぶりとなる投資家向け会議で、より収益性の高い市場へ、投資や開発リソースを集中させる新しい経営戦略を披露した。
このことは、AMDの製品戦略にも大きな影響を与えることになる。まず、スー氏は「ローエンドPC向け製品など、収益が少ないジャンルは切り捨てる。また、期待していた成長が得られなかった、SeaMicroの高密度マイクロサーバー事業も清算した」として、よりシンプルな事業形態への転換を図っていることを明らかにした。そして、同社は、
- ゲーミング
- 没入型プラットフォーム(Immersive Platform)
- データセンター/インフラ
の3つの市場に、製品開発を集中させるとともに、
- ウェアラブル端末やセンサー端末などのIoTエンドポイント
- ローエンドタブレット・ノートPC
- スマートフォン
の3つの市場には投資しないと、同社の強みが生きる市場のみに集約することを宣言。また、スー氏は「AMDは、テクノロジ・カンパニーであり、つねに最先端の技術を市場にもたらすことで、業界をリードしていく」として、
- 高性能コア
- 没入型テクノロジ
- 2.5D/3Dパッケージング
- ソフトウェア/API
のジャンルでテクノロジの開発を加速することを明らかにし、逆に
- 自社製品に最適化した半導体プロセス技術の立ち上げ
- すでに標準化されているIP(知的所有権)分野
に関しては、投資や技術開発を行なわない計画であると説明した。