ソネット株式会社(以下、ソネット)が運営する法人向けITソリューション事業「bit-drive」は、5,500社を超える企業のIT基盤を支える各種クラウドサービスを提供している。クラウド勤怠管理サービス「インターネットタイムレコーダー」もその中の一つ。同サービスでは、2004年の提供開始以来、10年以上にわたってサイオステクノロジーのHAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」を採用。2015年に実施したPure Storage FlashArrayシリーズを活用した最新プラットフォームでも引き続き利用している。

ソネット株式会社
法人サービス事業部門
bit-drive事業推進部
技術1課 チーフ
竹内 大樹 氏

クラウドサービスの可用性を10年以上にわたって支える「LifeKeeper」

 個人向けのインターネット接続サービスプロバイダーというイメージが強いソネットだが、法人向けサービスの分野でも豊富な実績を持っている。同社が運営する「bit-drive」は、ネットワーク・VPN、クラウド、アプリケーションなどの各種ソリューションサービスを提供している。
 そんなbit-drive事業で展開するソリューションサービスの一つにクラウド勤怠管理サービス「インターネットタイムレコーダー(以下、ITR)」がある。2004年にサービスを開始したITRは、インターネットベースの勤怠管理システムの先駆け的存在。10年以上にわたってサービスを提供してきた実績に加え、管理者の利便性を考慮した使いやすい操作画面など、簡単に導入・運用できるという特長がある。
 従業員の勤怠管理という高可用性が求められるITRでは、サービス開始以来、システムインフラの冗長性確保を目的としてサイオステクノロジーのHAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」が使われてきた。ITRのシステムインフラを担当するソネット株式会社 法人サービス事業部門 bit-drive事業推進部 技術1課 チーフの竹内大樹氏は、LifeKeeperを活用している理由を次のように説明する。
 「LifeKeeperは、導入しやすくGUIで簡易に設定できるという管理性の高さ、導入・運用コストを削減できるというメリットがあります。ITRのシステムでは冗長性確保のために10年以上にわたって利用しています」(竹内氏)

Pure Storage FlashArrayシリーズを採用した新システムでも、「LifeKeeper」を継続利用

 2015年には、約5年間利用してきたITRのシステムインフラを更改した。ITRのサービス開始から通算で2回目のリプレースである。
 「勤怠管理サービスは競合が多く、ITRは優位性を維持向上させるため、システム環境を見直すことに取り組みました。今回はサーバーとストレージを全面的に刷新するとともに、アプリケーションをリニューアルするなど、システムインフラ部分をメインにリプレースを実施しました」(竹内氏)
 新しいシステムインフラでは、物理サーバーを冗長構成にし、そのHAクラスタリングにLifeKeeperを採用している。ストレージには、Pure Storage FlashArrayシリーズのオールフラッシュストレージを採用。冗長構成のそれぞれのサーバーから同一の保存領域にアクセスする構成になっている。
 「LifeKeeperで管理しているのは、Oracle DatabaseとIP、Pure Storage FlashArrayシリーズのファイルシステムです。LifeKeeperでOracleを保護する仕組みは10年前から採用しています。今回のリプレースでは、最新サーバーとオールフラッシュストレージの導入による性能の向上を図りました。」(竹内氏)

インターネットタイムレコーダーにおける、LifeKeeperの動作図

万が一の障害の際にも、スムーズな切り替えを実現

 今回のリプレースにあたり、LifeKeeperを他のHAクラスタリング環境に置き換えることは、特に考慮しなかったという。
 「10年間LifeKeeperを使い続けてきて特に問題がなかったことが大きな理由です。導入・設定が簡単なLifeKeeperは、ITRのような可用性が必要なシステムには最適だと思います」(竹内氏)
 また、ARK(Application Recovery Kit)によってスクリプトをカスタマイズできる機能も高く評価している。
 「Oracle Databaseはサイオスが提供しているARKをそのまま使っていますが、ITRのアプリケーションなどは当社が独自のARKを作成して利用しています。ARKでのカスタマイズは容易で使い勝手も良いですね」(竹内氏)
 今回の最新サーバー、オールフラッシュストレージPure Storage FlashArrayシリーズ、HAクラスターソフトウェアLifeKeeperによる新しいシステムインフラにより、万が一の際にもスムーズにサーバーが切り替わると竹内氏は話す。

ITR以外の業務システムでもLifeKeeperを採用

 ソネットのbit-drive事業では、今回リプレースしたITRのシステムインフラ以外にも、顧客の請求情報や課金情報を扱う社内業務システムでもLifeKeeperを採用している。
 「LifeKeeperありきでシステムを構築しているわけではありません。システムを構築するときは要件に応じて比較検討を行っており、それはHAクラスタリングでも同様です。今回、メリットや性能を比較したうえでLifeKeeperを選定することになりました。」(竹内氏)
 LifeKeeperは今後も、ITRをはじめとするbit-driveのさまざまなソリューションサービスの冗長性確保を支える存在として活躍していくことだろう。