京セラは4月27日、2015年3月期の通期決算を発表した。売上高は前年同期比5.5%増となる1兆5265億3600万円と2期連続の過去最高売り上げを達成した。営業利益は同22.5%減となる934億2800万円、税引前当期純利益も同16.7%減となる1218億6200万円となったが、同社株主に帰属する当期純利益は同30.6%増となる1158億7500万円となった。

国内経済が輸出や公共投資は増加基調で推移したものの、消費税率引き上げの影響による個人消費の低迷を受けたとするほか、欧州経済は、個人消費が増加傾向となったものの設備投資が低迷したことにより、緩やかな伸びにとどまったとするが、米国経済は個人消費や住宅投資の伸びが堅調に推移し、中国経済も安定した成長が継続し、スマートフォン需要の伸長、自動車市場向け製品の需要拡大などが後押しとなったとする。

利益については、ファインセラミック部品関連事業や半導体部品関連事業、電子デバイス関連事業、情報機器関連事業が増益となったものの、ファインセラミック応用品関連事業および通信機器関連事業において、300億円の資産評価の見直しを一時的に実施。これに伴う損失が計上されたことから減益となったが、これを差し引いた場合は営業利益なども前年度を上回る結果となるという。

京セラの2015年3月期の通期決算概要

同社の代表取締役社長である山口悟郎氏

同社の代表取締役社長である山口悟郎氏は、次年度となる2016年3月期について、「売上高は過去最高となる1兆6000億円。ファインセラミック部品関連以外で増収を見込んでおり、10%以上の税引前利益率を目指す」と説明。スマートフォン向け部品で前年度比約30%に売上拡大を見込むほか、自動車関連製品としてLEDヘッドライト用セラミックパッケージや各種電子部品、車載用液晶ディスプレイなどの幅広い製品提供を進め、中でもECU基板向け基板やカメラモジュールでは約30%、車載用コネクタでは約50%の成長が見込めることから、同約10%増となる3000億円の売り上げを目指すとした。

京セラの2016年3月期通期業績予想

また産業機器では、半導体製造装置向けファインセラミック部品やLED用サファイア基板などを強化していくことで、ファインセラミック部品事業として前年度比約12%の成長を、プリンティングデバイス事業もサーマルプリントヘッドやインクジェットプリントヘッドなどが伸びるとの期待から、約21%の成長を目指すとする。

堅調に推移するスマートフォンや自動車分野で存在感を高めることが部品関連事業の成長のカギとなるという

さらに国内の太陽電池市場の縮小が予想される環境・エネルギー関連事業については、住宅用として、単結晶セルの高効率化を図っていくほか、直流充電で効率を向上させた蓄電システムを投入。中でもマルチDCリンクに対応した蓄電システムは充電効率が従来の89%から96%に向上しており、より効率のよい充電が可能になるとしており、太陽光発電システムや蓄電システムなどを組み合わせたトータルシステムでの提供を目指すとするほか、新エネルギーとして期待される水素燃料ビジネスについては、すでに産業用SOFC燃料電池の独自システムの開発に着手。試作機の実証を開始しており、2017年3月期の市場投入を目指すとしているほか、自動デマンドレスポンス実証実験に参加して得たノウハウをもとに自動化システムの有効性などの検証を行い、2016年の電力小売り完全自由化への対応を目指すとしている。

エネルギー関連は太陽光発電システムや蓄電システムに加え、燃料電池ビジネスに参入することで、収益の拡大を目指す