NECは4月27日、2013年11月に発売したベクトルスーパーコンピュータ「SX-ACE」を、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターと九州大学応用力学研究所に納入し、それぞれ2015年3月より稼働を開始したと発表した。

「SX-ACE」は、マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、64ギガフロップスのコア性能および64ギガバイト/秒のコアメモリ帯域を実現したベクトル型スーパーコンピュータ。

「SX-ACE」(最大8ラックの場合)

単一ラック当たりの性能は、前機種に比べ10倍のラック演算性能16テラフロップス(TFLOPS)、メモリ帯域16テラバイト/秒で、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とする。また、従来機種と比較し、消費電力を10分の1、設置面積を5分の1に低減している。

大阪大学レーザーエネルギー学研究センターは、独自に開発する世界最高水準のレーザーを用いて、超高密度や超高温度などの極限状態のプラズマ科学を探究し、新しいエネルギー・物質の創出を目指すとともにレーザー宇宙物理などの学際的な新領域を開拓することを目的として研究を進めている。

今回導入する「SX-ACE」32ノード(最大理論性能8.2TFLOPS)は、高強度レーザーをターゲットに照射した場合のプラズマ物理のシミュレーション研究に活用される予定。特に、マルチスケール・マルチフィジックスを伴う複雑な電磁・輻射流体シミュレーションによる現象解明が期待されている。

九州大学応用力学研究所は、今回導入した「SX-ACE」16ノード(最大理論性能4.1TFLOPS)を、陸上・洋上における風車群導入のための数値風況アセスメント(大気乱流シミュレーション)、黄砂やPM2.5といった微粒子の飛来影響を予測する大気環境シミュレーション、海洋環境の監視や海洋汚染の解明などを目的とした海況予測シミュレーションなどで活用する予定となっている。